2015年度は、研究代表者が2篇の論文と1篇の書評を発表し、研究分担者は共著で1篇の論文を発表した。 2016年度は、研究代表者が1篇の論文と2篇の訳注、および1篇の書評を発表し、研究分担者が2篇の論文を発表した。研究代表者の論文は国際共同研究にも関わるもので、中国語で発表された。口頭発表は、研究代表者が2件行い、うち1件は招待講演であった。 2017年度は、研究代表者が「「乱流趨正絶」と「乱流趨孤嶼」──謝霊運「江中の孤嶼に登る」詩の読み──」「「江北曠周旋」の「曠」」「中国の文学と女性」の3篇の論文を発表し、研究分担者も「『首楞厳経と臨済禅」「禅問答の誕生と公案禅・看話禅への展開」「『付法蔵伝』とその受容──大住聖窟二十四祖像を例として──」の3篇の論文を発表した。口頭発表は、研究代表者が1件で、国際共同研究にも関わる招待講演であった。研究分担者は3件を発表し、いずれも国際学会においてであった。 以上の研究活動から、もっとも古い文献には見えないある異文が、指示され定着してきた背後には、歴代の読み手の仏教的思惟が存在すること、その異文は、当該作者の他の詩文のスタイルとも合致することが明らかとなった。 「研究の目的」は、その第一が「異文を支持し伝えた読み手たちの、そう読みたいという欲望と」「彼らの学識・見識・詩人像・文学観を探る手だてとして、異文をとらえる」ことであり、第二はその詩文自体の「文脈や修辞の特殊性・特有言語」や「その思想的背景を捉えること」であったが、二つともほぼ達成された。「研究実施計画」も当初の計画どおりに進んだ。
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