研究課題/領域番号 |
15K02431
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
齊藤 大紀 富山大学, 人文学部, 教授 (70361938)
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研究分担者 |
高橋 俊 高知大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (10380297)
中野 徹 近畿大学, 文芸学部, 講師 (20610512)
中村 みどり 神奈川大学, 外国語学部, 准教授 (30434351)
杉村 安幾子 金沢大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (50334793)
中野 知洋 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (70372638)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 中国現代文学 / 青島 / 国立青島大学 / 沈従文 / 王統照 / 陶晶孫 |
研究実績の概要 |
山東半島南側に位置する近代都市・青島は、ドイツ・日本・中華民国・中華人民共和国による建設という歴史を持ち、歴史的文化的に重層的な発展を遂げてきた都市として、恰好の文化研究のフィールドである。しかしながら、中国現代文学の分野における共同研究は本研究の前身である「近代都市・青島における知識人の交流と文化空間の創成」(基盤研究(C)、K24520387、齊藤大紀)が嚆矢となるものである。本研究では、今年度、前研究の成果をふまえ、青島における文学活動の諸相のさらなる解明を試みた。また山東半島における共同フィールド調査を行うことによって、王統照・臧克家といった文学者の生平事跡と作品世界について新たなる理解を得ることができた。 具体的な活動は以下の通りである。6月27日に近畿大学において第1回研究例会を開催し、齊藤大紀が「王統照『一葉』について──少年は海で何を思うか」と題して研究成果を報告したほか、「青島──混淆する文化空間」と題したリレー式報告で中村みどり「陶晶孫『青島一瞥』の背景」、中野徹「海と学潮2──王林と海鴎劇社」などの報告が行われ、五四時期の王統照による青島描写の分析、五四運動の原因となった青島という年にまつわる言説研究、1930年代の青島における左翼文学活動の一端などが報告された。 3月18日から21日にかけて行われた青島および諸城市における実地調査においては、特に青島の後背地たる山東省内農村に足を運び、その地理的な関係を考察した。また諸城市は、王統照および臧克家の故郷であり、両者の故居を訪問することを通して、王統照の代表作である『山雨』などをはじめとする、その文学的な世界を理解することができた。また臧克家故居においては、臧克家の実弟である臧錦家氏に取材し、その生平事跡について教示を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の進捗状況については、研究例会の開催、実地調査の実施、資料の収集等、ほぼ研究計画書に記載された研究計画に沿って行われており、おおむね順調に進展していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策については、今年度、未実施であったゲストスピーカーによる講演を予定している。具体的には、沈従文の『月下小景』などの共同研究者間で十分に研究が行われていない作品群や、蕭軍、蕭紅をはじめとする青島に滞在しながらも共同研究者間で研究が進展していない作家についての知見を得ることを図りたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
資料の購入等、次年度における有効な使用を行うため。
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次年度使用額の使用計画 |
青島関連資料購入費用の一部とする。
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