研究課題/領域番号 |
15K02433
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
閻 小妹 信州大学, 学術研究院総合人間科学系, 教授 (70213585)
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研究分担者 |
井上 正夫 松山大学, 経済学部, 准教授 (10633274)
氏岡 真士 信州大学, 学術研究院人文科学系, 准教授 (60303484)
佐立 治人 関西大学, 法学部, 教授 (70340643)
伊藤 加奈子 信州大学, 学術研究院人文科学系, 准教授 (80293489)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 詐欺防止 / 商人 / 中国明朝 / 杜騙新書 / 経済法 |
研究実績の概要 |
1、諸本の調査は閻小妹・氏岡真士によって、まず和歌山にある南方熊楠資料館で行なわれ、その報告は「『杜騙新書』と南方熊楠」という題で信州大学人文社会科学研究に発表した。主な内容は以下である。南方熊楠の蔵書のなかに『杜騙新書』がある。明刊本と見まがいかねない外観だが、明刊本より1行多くなっており、その分だけ葉数が節約されている。また版心は、明刊本が「杜騙新書〔黒魚尾〕〔巻数〕〔葉数〕」という体裁を採るのに対して、写本はこれらを記さず、とくに葉数が記されるべき個所は「○」となっている。その下に「文刻堂」の3文字を記す。全体の構成だが、まず「叙江湖奇聞杜騙新書」から始まる。ここは明刊本に比べて崩した書き方で文字を詰め込んでおり、行数も明刊本の半葉8行より2行分多いため、半葉少なく2.5葉で終わっている。次に目録が2葉。明刊本の4葉の半分なのは、おもに巻三と巻四の記載が無いためである。ところでこの写本は、日本に伝わる他の写本と興味深い共通点が2つ見られる。ひとつは「書林漢冲張懐耿梓」と本文各巻初めに記すことで、もうひとつは巻二19bの第9行と第10行についてである。そして国会図書館蔵本をのぞく3つの写本(国立公文書館、東洋文庫、筑波大学所蔵)においても、この部分は記載が無い。 2、閻小妹は中国の南京大学図書館、西北大学図書館で調査をしました。また『杜騙新書』の関係資料を学会で日本文学関係者に配布して、『杜騙新書』の最新研究状況への理解を深められた。 3、分担者もそれぞれ担当する原文の校勘を行い、訳注稿の作成を計画通りに順調に進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本国内の図書館と中国の図書館の調査が順調に進んでいる。 原文の校勘、訳注の作成も行われている。
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今後の研究の推進方策 |
1,今後も引き続き、国内『杜騙新書』の新たな所蔵先の判明などに必要に応じた追加調査を行う。または海外特に中国の各図書館への調査を行う。 2,原文の校勘と訳注の作成は引き続き各自で行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画で見込んだよりも安価に研究が進んだ為、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度請求額と合わせて、研究分担者の旅費費用として平成28年度再分配をする。
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