研究課題/領域番号 |
15K02436
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
高橋 文治 大阪大学, 文学研究科, 教授 (00154857)
|
研究分担者 |
加藤 聰 京都女子大学, 文学部, 准教授 (10335325)
谷口 高志 佐賀大学, 教育学部, 准教授 (10613317)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 封禅 / 昊天后土 / 中嶽嵩山 / 東嶽泰山 / 西嶽崋山 / 后土廟 / 淫祀 |
研究実績の概要 |
研究分担者加藤聰と谷口高志は、平成29年8月に中華人民共和国河南省において現地調査を実施し、中嶽嵩山周辺に残存する古建築や碑刻等を調査して、唐代に嵩山周辺で実施された国家祭祀について伝世文献に残る歴史的な記述と現状の照合確認作業を行い、多くの成果を得た。特に、則天武后時代に実施された昇仙太子王子喬をめぐる祭祀、嵩山神を中天王、洛水神を聖母として合わせ祭った祭祀については、現地に残存する碑刻や地方志から多くの情報を得て充実した成果を得、すでに国際学術研討会においてその成果の一部を「武則天郊廟歌辞小考」として公表した。また、同じく加藤聰と研究分担者谷口高志は京都女子大学が主催する公開講座において、「女帝・則天武后と嵩山―その祭祀と文学のかたち―」という表題で成果の一部を公表した。 また、文献研究の面においては、研究代表者の高橋文治が、唐代までに成立したいわゆる志怪小説を網羅的に調査し、碑刻や地方志の記述から立廟が確認できる神格については、宋元期に及ぶ演変も含め、その神格の成立過程や信仰の実質、祭祀の特徴やその歴史的変遷等を詳細に取りまとめ、成果の公表を準備した。また、研究分担者加藤聰は、『旧唐書』や『楽府詩集』に掲載される唐代の郊廟歌辞、特に則天武后朝期のそれについて詳細な訳注を作成し、成果の一部をすでに公表した。また、研究分担者谷口高志は中晩唐期の文人の作品から地方の民間祭祀にかかわる記述を丁寧に拾い集め、時に淫祀と呼ばれることのある地域の民間祭祀の実情と、その民間祭祀を当時の文人が如何に観察しなぜ淫祀としたかについて分析し、その成果の一部を公表した。 また、研究代表者高橋と研究分担者加藤、谷口とは、平成30年1月と3月に会合をもち、それぞれの研究成果の共有を図り、また、成果全体の統合を準備した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題における文献研究や研究分担者による現地調査等は所期の計画をほぼ予定通り実施し、多くの成果を得た。ただし、研究代表者に要介護の家族がおり、その看病のため研究代表者が予定していた中華人民共和国における現地調査等はこれを実施することができなかった。そのため、本研究課題の遂行は一定の遅れが生じざるを得ず、研究期間の延長を申請した。
|
今後の研究の推進方策 |
平成29年度に研究代表者が予定していた現地調査等を、平成30年度に研究分担者が実施することによって、本研究課題の研究を平成30年度に完遂する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者高橋文治に要介護の家族がおり、海外出張の日程が立たず現地調査を断念したことにより、29年度に未使用額が生じた。 平成30年度も研究代表者高橋の状況は変化がないので、予定していた現地調査は研究分担者に代行してもらう予定である。
|