本研究は、南宋文学に表現された故郷・田園(郷村社会)のあり方を検討し、その文学史的および地域社会史的・思想史的特質を明らかにするものであり、次の四項からなる研究を行う。 (1)陸游・楊万里・劉克荘の詩に表現された故郷・田園と陶淵明詩のそれとの比較。(2)陸游・楊万里・劉克荘の詩に表現された老人・子供に関する研究。(3)陸游・楊万里・劉克荘の詩に表現された郷村社会のあり方に関する研究。(4)陸游・楊万里・劉克荘の詩に表現された「郷紳」意識に関する研究。 本年度は(1)~(4)に関する前年度までの研究成果を踏まえつつ、北宋を視野に入れた研究を行った。特に蘇軾・黄庭堅との比較を踏まえつつ、陸游・楊万里の詩の読解を進めた。 以上の研究成果については、日本および中国の宋代文学関係の学会にて発表したほか、その内容の一部を学術誌に発表した。これらに加えて、陸游の詩の訳注作業を進めた。近年中に書物として公刊の予定である。
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