徳山藩毛利家棲息堂旧蔵漢籍の全体像を明らかにすることにより,全国規模で作成されつつある漢籍データベースにリンクすることが可能となり,本邦における和漢書の集積に寄与することができる。また,毛利元次以来継承され,構成されてきた蔵書群を総合的に把握することにより,徳山藩毛利家の知の原点を探り,同家の知的財産の水準について,客観的・具体的に解明することが可能となる。徳山藩毛利家において貴重された文事は何か,学芸的特徴は何かといった疑問に充分に答えるため,本研究は先蹤ともなり得るものである。とりわけ,棲息堂旧蔵漢籍のうち,稀覯書の精査は,中国学領域における新知見の提出に寄与することができるのである。
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