| 研究課題/領域番号 |
15K02445
|
|---|
| 研究機関 | 関西外国語大学 |
|---|
研究代表者 |
安田 真穂 関西外国語大学, 英語国際学部, 准教授 (70351559)
|
|---|
| 研究分担者 |
福田 知可志 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 非常勤講師 (00747214)
山口 博子 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 研究員(移行) (80570465) [辞退]
田渕 欣也 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 非常勤講師 (90747213)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
| キーワード | 夷堅志 / 洪邁 / 太平広記 / 中国古典小説 / 宋代 / 版本研究 / 地理志 / 自序 |
|---|
| 研究実績の概要 |
最終年度に実施した研究の成果としてはまず、『『夷堅志』訳注 乙志上』(平成二十九年七月七日発行、汲古書院)を出版したことである。これは、前年度に引き続き今年度も、研究分担者らと共に毎月二回『夷堅志』研究会を開催して、『夷堅志』を精読し意見交換を行った研究成果を発表したものである。本書の具体的内容は、本研究の研究対象である『夷堅志』(原本全四百二十巻)の内の乙志巻一から巻十について、①国内外から収集した現存版本と校勘・整理・補訂を行った上で、新たにテキストを再構成し、②各話の内容について、散見できる歴史書や地理志と精緻に比較検討を重ね、『夷堅志』理解する上で補足すべき注を付した。③更にこれらの研究成果を反映させた訳を付け、④巻末に「人名・地名索引」と「分類索引」を付したことで、文学のみならず歴史や民俗学研究など、広い分野の研究者の需要に貢献できると考える。
また、研究分担者である福田知可志氏による「『夷堅志』自序に見える編集者洪邁の態度」と題した解説も本書の巻末に掲載した他、他のメンバーも、本研究を通じて得た成果を順次発表する準備を進めている。
また付け加えるならば、今回「中国地方誌全文検索叢書」というＣＤ-ＲＯＭが日本で発売され、原書の画像も確認できるようになった。このシリーズの一部を購入して本研究に取り入れたことにより、これまでは限られた文献しか確認できなかった部分が、中国残存の地方誌までも網羅的に検索することが可能になり、訳注を付ける作業が飛躍的にスピードアップし、精度も増したといえる。
本書は今回の『乙志上』でシリーズ三冊目となり、研究期間全体としては二冊目の出版となる。『夷堅志』研究としては、テキストの問題上も可能な限り詳細に調査した注も、国内外において類を見ない、本格的な調査結果を発表したものであると自負している。これは本研究における大きな成果である。
|
