本研究は、日本統治期の台南における文学活動を、台湾人作家を中心に、台湾の古都台南がどのように表象されたのかという観点から研究するものである。日本統治期の台南は、台北や台中ほど文学活動が盛んではなかったが、台湾の歴史が凝縮された古都、台湾人が人口の多数を占める街として、独自の文学運動が展開された。本研究では、日本語で執筆した呉新榮・楊熾昌ら、中国語で執筆した荘松林ら、さらに戦前から戦後にまたがって活動した王育徳・葉石濤らの文学活動や民俗研究について研究した。本研究では、文学による台南表象を、当時の歴史的な文脈と照らし合わせつつ研究し、同時にこの作業を通して、周辺からの文学史の再考を試みた。
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