| 研究課題/領域番号 |
15K02448
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| 研究機関 | 北海道大学 |
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研究代表者 |
鈴木 純一 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 教授 (30216395)
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| 研究分担者 |
西村 龍一 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 教授 (10241390)
山田 貞三 北海道大学, 文学研究科, 特任教授 (50128237)
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| 研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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| キーワード | メタファー / メディア / 社会理論 / 言語批判 / 二次観察 / 喩法 / 歴史記述 |
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| 研究実績の概要 |
研究計画に従い、今年度も昨年度同様、当初の仮説に基づき、①メタファーによる観察メカニズムとメディア機能（接続と切断、あるいは物語の構築と反語的な批判）に関する理論的な研究、および②この観点から多様な領域における具体的なテクストの分析と解釈、そして③両研究のフィードバックによる仮説の修正と精緻化、という作業を継続しておこなった。①の理論的な研究に関しては、本課題の基本的な発想となっている、言語・記号と身体性の相互作用と認知機能（さらには発見・創造的機能）との関連をテーマとした文献研究を進めると同時に、社会理論に見られる二次観察（メタ観察）におけるメディアの制度化と固有の機能システムの分化の連動メカニズムの解明を引き続き行った。このような作業を進めることで、メタファーという二次観察形態が果たすメディア機能に関する仕組みがより明確になったと考えられる。すなわち、メタファーを基底で支える自己言及的な観察（オートポイエーシス）がもたらす「差異」の形象化（＝自己の二重性の可視化）が、非対称的な「ずれ」（切断）を生み出すと同時に両者をつなぐ（接続＝メディア）機能をも有するという構造である。②の作業では、①で理論的に予想されるメタファーとメディアの関係性を、具体例から引き出すことを引き続き試みた。思想、文学、歴史、社会、批評、科学、芸術等の様々なテクストやメディア作品を対象として取り上げた結果、直接的表現としては一致しなくとも、構造的に対応する事例を相当数見出すことができた。（例えば、歴史記述の展開を規定する喩法、観光や移動における偶発性を必然性に変える他者の隠喩的視点、近言代文学における言語批判に見られるアンビバレントな隠喩評価、戦争をテーマとしたアートや記念碑における隠喩を介した想起、等々。）③のフィードバックに関しては、部分的にはおこなわれているが、全体としては途上の段階にある。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実績概要で述べたように、①理論的研究に関しては、メタファーの観察メカニズムとメディアの機能的な役割の関連性、およびその思想的な意義に関する考察が、年度を経るごとに確実に深化し、より精緻で応用範囲が拡大していると考えられる。また②の具体的なテクストやアート作品の事例分析に関しては、予想以上に時間を必要とするため、数は多いとは言えないものの、それぞれの領域や個別的研究で着実に進行しており、分析や評価も蓄積されている。最後に③のフィードバックに関しては、途上段階であるが、事例分析の増加とともに作業ペースが上がると予想され、現段階では問題ないと考えられる。
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| 今後の研究の推進方策 |
進捗状況で述べたように、理論的な考察に関しては、年度を経るごとに相当の研究成果を挙げつつあり、この形で推進していくことで問題はないと思われる。具体的なテクストやアート作品の分析に関しては、昨年度の報告にもあるように、当初考えていたよりも時間と作業量が必要であり、ペースとしては早いとは言えないが、何よりも丁寧な分析の継続が望まれ、着実な成果を挙げることを主眼に進めていきたい。最後に理論と具体的分析相互のフィードバックも、事例分析の増加・深化とともに、より効果的な形で作業を進めることが可能になると思われる。
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