本研究「近現代ベンガル語ベンガル文学の発展と現状」の実績は以下の通りである。 本研究に関連して、まず初年度である平成27年度に東京外国語大学において第4回国際ベンガル学会を開催したが、その成果を順次まとめていった。諸事情により計画よりだいぶ遅延したものの、最終年度である平成29年度末にはすべての論文の査読、校正作業を終え、ジャーナル(電子媒体)のかたちでまとめることができた。さらに29年度は、現代インド詩全体におけるベンガル詩の位置づけを探るべく"Modernism in Indian Poetry"と題する国際ワークショップを開催し、そのなかで特に"Modernism in Bengali Poetry" を中心に活発な討議を行った。インドからは複数の研究者を招待し、特に近現代の文学史記述に関する多くの知見を得た。ワークショップにおける各発表の内容は、簡易的な冊子にまとめられた。 本研究の成果物としては、上記のジャーナルのほか、350頁におよぶ『タゴール読本』を作成したことが挙げられる。これはベンガル語ベンガル文学の根幹をなすタゴール(Rabindranath Tagore)の著作を網羅的に収めたアンソロジーで、冒頭にタゴールについての全般的な解説を付したほか、詩編、短編小説、長編小説、戯曲、その他の各文学ジャンルに関しても必要な解説を加えたものである。さらに前年度に作成したCEFRのA2レベルまでのベンガル語語彙集を辞書のかたちに改める作業を開始したが、これに関しては完了していない。辞書作成は今後とも継続して取り組んでいく予定である。
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