研究課題
基盤研究(C)
「クンチャーン・クンペーン物語」は、インドの仏教文学や中国文学からの影響を受けていない、タイ固有の、もっとも知られた古典文学である。本研究では、この作品の言語学的、文学的、社会史的特質と価値を明らかにした。研究の結果、口伝を基にバンコク王朝初期からラーマ五世時代にかけて編修された「クンチャーン・クンペーン物語」は、アユタヤー時代に成立した一地方の民間説話であったものが、タイを代表する古典文学となったことが分かった。研究に併行して日本語への翻訳も行った。
タイ文学、タイ映画、タイ美術、東南アジア文学
東南アジアの人文科学に関する研究は、社会科学分野に比べれば圧倒的に少ない。本研究はタイで最も著名な古典文学の本格的研究であり、4年間の研究結果と作品の全訳の公開を通じて、わが国のタイ研究、東南アジア研究に大いに寄与できる。