研究実績の概要 |
Sukhdev・Misraのヒンディー詩論書の写本から書き起こしたテキストの音節韻律(Varnik Chand)部分の英訳を行った。意味で不明な点を2写本で比較検討し、写本の異読を入力する作業を引き続き行う。また、韻律用語の語彙集を作成した。作業を通じて、ひとつの語彙をSukhdev・Misraが状況に合わせて複数の意味で用いているものがあることが分かった。また、20世紀のBhanuが用いている用語とも使用方法が異なることが明らかになった。 チェコのプラハで開催された古ヒンディー語のブラジ・バーシャーのワークショップに参加し、古ヒンディーのテキスト(Tulsidas, Keshavdas, Surdas, Mirabai, Gorakhnath, Mulla Da'ud, Banarsidas)に加えて、アパブランシャテキストPaumacariuの講読にも参加した。 日本南アジア学会で、ヒンディー韻律の音韻的リズムの形成から発展、また現代標準ヒンディーになって新たな音韻リズムの確立が起こったことを論じ、口頭発表した。潜在母音の脱落による新たな音韻リズムの形成については、これまで論じられたことのないテーマであり、現代ヒンディー語の確立の解明の点でも本考察は意義深い。発表を基にして執筆した論文を学術雑誌に投稿した。 中世ヒンディー文学の電子テキストを作成した。 ムガル帝国の宰相であり詩人としても知られるアブドゥル・ラヒーム・カーンカーナーのドーハー詩集『都市の輝き』を日本語に翻訳および解説し、掛詞の使用方法の問題点を論文として発表した。 Ramsahay著VrttatalanginiとJani・Biharilal著Chandaprabhakarapingalaのヒンディー詩論書の写本調査は予定より早く昨年度済んだため、本年度は現地調査は実施しなかった。
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