17世紀のSukhdev Mishra著ヒンディー詩論書Pingalaを同一系統の2写本を基に校訂し、英訳をつけた。また、ヒンディー韻律で用いられる専門用語集を完成させた。なお、最終年度に実施したインドでの現地調査でRajasthan Vidyapith Sahitya Sansthan所蔵のSukhdev Mishtaの写本がこれまで使用していた写本とは系統が異なり、記されている韻律や定義にも違いがあることが分かったため、この写本と前年度に行ったNagari Pracarini Sabha所蔵の写本をさらに加えて校訂し、校訂本の最終版は出版する予定である。 国際学会13th International Conference on Early Modern Literatures in North India(ワルシャワ大学)で"The Rhythm of Early Hindi Poetry as Reflected in the Pingala Literature"と題して本研究の成果であるヒンディー韻律独自の規定法について口頭発表した後、論文を執筆し投稿した。 ヒンディー語方言ラージャスターン文学研究者Alexandra Turek博士と共同で、ラージャスターンのDingalaとPingala文学からテキスト・サンプルを選び、グロス付与するとともに韻律分析を行った。Pingala文学では一般的なヒンディー韻律が用いられている一方で、Dingala文学ではヒンディー詩論書に記述されていない独自の韻律形式が使用されていることが分かった。 15世紀のヒンディー詩人カビールの研究者Jaroslav Strnad博士と研究会を開催し、Strnad博士が写本から作成したテキストを韻律分析した結果、詩論書の規則から逸脱したモーラ数の詩形が一般に用いられていることが判明した。
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