本研究は、これまでテクストの周縁としてみなされてきた「注釈」「翻訳」を、そのものに価値を見出すことが可能な自立したテクストとみなし、再評価することを目指したものである。中国文学と米文学の研究者が互いに意見を交換し合いながら、それぞれのフィールドで、本文に付随するものとしてではなく、「注釈」「翻訳」そのものに焦点を当て分析・検討を加えた点に本研究の大きな特色がある。その結果、注釈や翻訳それ自体も解釈したり分析したりすることが可能なテクストであり、またそれ自体が独立して変容し受容されていく可能性を持つテクストと見なしうることの一端を明らかにできたと考えている。
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