日本による植民地期以来、東アジアから朝鮮半島への移住、朝鮮半島から東アジアへの再移住を行った人々を描いた韓国の小説と映像文学を分析してみると、新旧華僑華人が各時期別に多様な東アジア市民意識を形成し変貌してきたことが分かる。まず、①植民地期には「植民型中間市民」としての地位を持つ動員された東アジア市民に、②戦後の開発/階級独裁期には、移住先となった国家より同化を強要されたが、市民でありながら市民としての権利を保持しない市民、即ち「同化型類似市民」に、③中国の改革開放以後は、旧華僑華人の帰郷と中国朝鮮族を含む新華僑華人の離散を繋げる「中華型ネットワーク市民」に変貌してきたことなどが把握できた。
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