日本語の構文に関する運用上の選好があること,選好が解釈の傾きを形成する動機になっていることを明らかにした。モダリティ助動詞の形成については,どのような語彙的資源が文法化に用いられているか,構文形成上どのような制約を有しているかなどを明確にし,特に,時制標示との関わりが深いこと,述部複合構造で時制標示が複数現れるマルチテンスが日本語の構造的特質の1つであり,それが推意,特に慣習的推意を形成していることを明らかにした。助動詞類の推意は,形式上,構文推意に区分できるが,推意の固着の度合い(慣習化の度合い)も個々に異なることから,推意の慣習性・固着度あるいは強度に尺度を導入すべきことを提案した。
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