自然談話、特に相互作用のある自然談話における音声情報に基づいた談話標識、特に接続詞の機能と音声情報との関連を扱った。接続詞「で」「でも」は、会話内に頻繁に生じるが、実質的意味内容が希薄な例が散見する。特に、接続詞の「で」はこれまでの研究から、フィラーのように単に間合いをとっているかのように思われる例が非常に多い。この一方で、話題の進行として本筋に戻る例も見られ、用法に幅がある。また従来の研究から「で」の用法の広がりが指摘されている。これらの用法と音声情報とは何らかの対応が見られるか検討した。談話標識は、情報としての伝達内容にさほど影響がないかのように見られてきたが、会話構造と音声情報との関わりを探った。接続詞全般についての機能と接続詞「で」の音響特徴との関連を扱った。自然談話の中でも、接続詞と接続助詞が、会話の構造(話の重複、会話の開始と終結、フロア概念)において、どのような役割を担っているか、会話の構造と音声情報に基づいた接続表現との関わりについて考察した。自然談話における言いさし、言いよどみ、オーバーラップ、言い誤り、倒置等の現象における談話標識の機能を整理した。接続表現は、発話単位間を関係づけ、文脈を形成するものであり、自然談話内での情報の受け渡しや思考の連鎖を考察するのに有効である。自然談話における接続表現の使用については、これまでの日本語の文法論等における接続研究の蓄積があり、各接続表現の特徴を考察する際の参考とした。また、自然談話における語りにおける接続表現について音声特徴を分析した。
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