研究課題
2017年度はこの科研の最終年度であった。研究代表者と研究分担者は、各自担当する言語の逆使役関連構文の記述と分析を進めた。また、2018年2月24日土曜日と25日日曜日の両日、研究会を開催した。この研究会では研究代表者と研究分担者だけでなく、プロジェクト外部の若手の研究者にも発表していただき、有意義な意見交換を行うことができた。調査に関しては、札幌市近郊の大学で自発語形のゆれと用法に関するアンケートを行うことができた。調査を行った大学は札幌学院大学および北海学園大学である。北海道方言の自発語形には逆使役の用法がある。この調査では、サ変動詞で伝統方言の形式よりも-sasarを含むネオ方言の形式の方がよく用いられていることがわかるなど、予想外の結果も得た。また、語彙的な自動詞と自発接尾辞を用いた逆使役述語の間にアスペクト上の違いがあることもわかった。最終年度に論文集を刊行することはできなかったが、いくつかの成果を得ることができた。各言語の逆使役関連形態法の用法上の広がりについて理解を深めることができただけでなく、複数の言語の逆使役関連形態法の用法を意味地図上で位置づけることにより、先行研究で提案された再帰と関連づけた逆使役構文に関する意味地図に修正が必要であることがわかった。自動詞に自動詞化形態素が付加される現象を複数の言語で検証した結果、再帰形態素を用いるタイプの言語で提案された意味地図が、再帰形態素を使った自動詞化を把握する上でも十分ではないこともこの研究計画ではわかった。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
KLS
巻: 38 ページ: 印刷中
立正大学文学部論叢
巻: 141 ページ: 137-152