本研究は,音声生成・知覚機構における言語学的情報と、調音運動の制御原理との関係を解明することを目的とする実験音声学的・実験音韻論的研究である。様々な連続音声プロセスにおける音声実現形について、調音運動の動態観測と分析、音響的特徴の分析を遂行し、調音動作の協調タイミング、調音動作の変動性、音響的特徴、音形選択に関わる言語学的条件について検討を進めた。本研究の成果は、調音動作の組織化と音韻構造との関係に関する理解を深めることに貢献するとともに、音声生成における個人差の位置づけや、音韻論における生物学的基盤の役割という新たな問題(研究課題)を提起するものである。
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