研究課題/領域番号 |
15K02496
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研究機関 | 関西外国語大学 |
研究代表者 |
西郷 英樹 関西外国語大学, 外国語学部, 准教授 (20388482)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 終助詞 / 発話末詞 / 発話連鎖 / 母語話者 / 日本語学習者 |
研究実績の概要 |
これまで発話末詞「ね」「よ」「よね」の意味機能は多くの研究者によって研究されてきたが、そのほとんどの考察が文レベルにとどまっているせいか、なぜ頻繁に会話でこれら発話末詞が使われているのかという談話レベルでの意味機能が明確にされていない。これが理由か、日本語教育でのこれら発話末詞の指導は他の文法表現に比べ、非常に遅れている。 そこで、本研究では、目的を2つ設定した。まずは、これら発話末詞が付いた、それぞれの発話の後に、母語話者がどのような発話のやり取りの流れを作り出すかを調査・類型化し、そのやり取りから「逆算」してそれぞれの発話末詞の意味機能を考察することである。次に、日本語学習者にも同じ調査を行うことで、母語話者が作ったやり取りの流れとの違いをあぶり出し、その結果を日本語教育での発話末詞の指導に役立てることである。なお、自然環境下で同命題にそれぞれの発話末詞が現れているデータを収集するのは不可能であるため、本研究では談話完成ペーパーテストを実施し、被験者の内省データを収集・分析することに留める(応募書類にも記載)。 初年度の研究実施計画は、①談話完成テストの作成、②被験者の募集、③テストの実施である。以下、本年度の研究実績である。 ①談話完成テストの作成:以下の発話を2人の短い会話の最後に提示し、その続きのやり取りを被験者の想像力を用いて作成してもらう〈叙述文「今日、めっちゃ暑い」「あ、そろそろ時間だ」、依頼文「来週の飲み会、来て」「忘れないで」〉。なお、それぞれの発話には「~ね」「~よ」「~よね」のバージョンがあり、それぞれの発話に適切だと思われる流れを書いてもらう。つまり、被験者は12の会話の流れを考えてもらうことになる(4つの異なる場面×3つの異なる発話末詞=12の会話)。 ②被験者の募集及びテストの実施:母語話者53名、学習者24名にテストを実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画は、研究開始後2年間で、母語話者のデータを50人分、学習者のデータを60人分(初級、中級、上級各20人)を集めることであった。すでに母語話者のデータは当初の希望人数に達している。学習者に関しては、中級レベルで19人分のデータを、また上級レベルで5人分のデータを収集した。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、学習者に本テストを実施していき、すでに収集したデータの分析・考察を始める。 なお、母語話者、中・上級レベルの学習者に本テストを実施する中で、その課題内容が初級レベルの学習者には難しすぎ、分析に耐えうるデータ収集ができないのではないかという考えに至った。そこで、ひとまず初級レベルのデータ収集を一旦中止し、中級・上級レベルで得られたデータの分析結果を待って、初級レベルへのテストの実施の可否を決めることにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画した物品購入、収集したデータのデータ処理のアルバイト補助にかかる費用が当該年度に発生しなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度以降の、物品購入、アルバイト補助に使用する。
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