2015・2016年に実施した談話完成テストで得られたデータを基に、同じ場面に現れた同一の依頼を表す発話(以下、依頼発話)に3つの異なる発話末詞「ね」「よ」「よね」が付加された場合、後続にどのような発話が現れるのか、を分析・考察した。分析した依頼発話は「来週の飲み会、来て」である。本研究のポイントは以下の通りである。発話末詞が付加された依頼発話に関する先行研究自体が非常に少なく、「ね」「よ」「よね」が付加された依頼発話の比較分析・考察は、管見の限り、本研究が初の試みである。さらに、この研究は、本研究課題(15K02496)下でなされた前年度までのすべての研究と同様、先行研究では見られない発話連鎖の観点から分析・考察したものであることを付け加えておく。
本研究の分析・考察から、付加される発話末詞によって、依頼発話に後続する発話の種類、そしてその割合が大きく変わることがわかった。言い換えれば、発話末詞が後続する発話に大きく影響を与えているということである。特に、日本語教育の初級で導入される「ね」と「よ」の違いは顕著であった。この顕著な差自体はある程度予想の範囲内であったが、その違いは先行研究で明らかにされることのなかった「ね」と「よ」の新たな性格も表していることがわかった。「ね」と「よね」の違いは、「ね」と「よ」の差ほど大きくなかったが、「ね」と違い、「よね」には暗示効果が明らかに存在することがわかった。
当研究の結果は研究論文「依頼発話「来週の飲み会、来て」に付加された「ね」「よ」「よね」が後続発話に与える影響について」としてまとめ、『関西外国語大学留学生別科 日本語教育論集 28号』(オープンアクセスあり)に発表した。
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