本研究は名詞化標識や間投詞に由来する広東語の文末助詞を取り上げ、その文法化経路やその後の意味変化を通言語的視点を交え考察した。名詞化標識“口既(ge3)”(日本語で「の」に相当)由来の文末助詞にはge3、ge2、gE2が挙げられる。本研究ではこのうちまずge2を取り上げ、従来の見解と異なる文法化経路を提示したほか、ge2における対事的な<反予期>用法から対人的な<反発>用法への意味変化を跡付けた。また、文末助詞のge3に由来するgE2については、対人的<異論>用法からテクスト接続的<留保>用法への意味変化を指摘した。一方、間投詞由来の文末助詞には、le1、le5などが挙げられた。
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