• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2015 年度 実施状況報告書

ヌートカ語アハウザット方言の統合テキストデータベースの構築

研究課題

研究課題/領域番号 15K02509
研究機関東京外国語大学

研究代表者

中山 久美子  東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 研究員 (40401426)

研究分担者 中山 俊秀  東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (70334448)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードヌートカ語 / 北米先住民言語 / 危機言語
研究実績の概要

本研究は、消滅の危機に瀕し研究資料の蓄積もまだ少ないヌートカ語(ワカシュ語族;カナダ、ブリティッシュ・コロンビア)のアハウザット方言に関する言語データベースを構築することを目的とする。ヌートカ語は、複統合性、品詞分類の不明瞭さなど、類型的に興味深い構造的特徴を持ち、その研究は単に個別言語の記述を越えた一般言語学的な意義を持つ。それゆえにヌートカ語の一次データの整備には強い学術的要請があるが、特に近年は、危機言語としてのヌートカ語の再活性化に役立てるという社会的要請も含め、基礎的言語資料へのニーズは多角化、高度化している。しかしながら、一方で、そうしたニーズに応えられるデータは極端に少ない。そこで、本研究では、ヌートカ語アハウザット方言の一次資料を基として多様なニーズに応えうる豊かなテキストを基盤とした言語データベースを構築することをめざしている。
データベースの構築に当たっては、研究の成果が言語構造、伝統社会・生活、地域の歴史などに関する研究、および現地コミュニティーでの伝統言語と文化の再活性化に大きく貢献できるように、データの内容と構造の両面において幅広いニーズを想定した形に作り込んでいる。内容面では、伝説、昔話、歴史的な出来事についての語り、伝統社会・文化・技術・生活様式・しきたりについての解説などを幅広く含む。構造面では、文法分析を加えたテキストデータ、音声データ、語彙集をリンクさせた形式をとっている。
研究初年度の平成27年度には、テキスト、音声、語彙の各データベースの詳細仕様を確定した。その上で、書き起こしが終了したテキスト資料を分析、処理しつつ、データベース仕様の調整を行うとともに、データベース構築やデータリンク作業の流れを作った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究初年度の平成27年度には、テキスト、音声、語彙の各データベースの詳細仕様を以下のように確定した:(1)テキストは文に分け、原語テキスト、文法分析(形態への分析、形態素ごとのグロス、語ごとのグロス)、文の訳を付与;(2)テキストに対する注釈や解説、補足情報・資料・画像を該当する文にリンクさせる形で付加;(3)テキストの文は音声データベースにリンクさせ、テキスト全体の音声を聞くことができるようにするほか、一文ごとのリンクもつけ、一文ずつ聞くこともできるようにする;(4) テキストに出現した形態素を収録した語彙データベースを構築する;(5) 語彙データベースはテキストとリンクさせ、形態素および語からテキスト内の用例を検索できるようにする。
決定した仕様に基づき、書き起こしが終了したテキスト資料を分析、処理しつつ、データベース構築やデータリンク作業の流れを作った。未分析資料については、テキストの文法分析に必要な追加資料、テキストに関連した背景情報、文化情報などを収集するための現地調査を行い、分析を進めた。

今後の研究の推進方策

平成28 年度は、平成27 年度に確立した作業の流れに沿ってテキスト資料の処理を進め、テキスト、音声、語彙の各データベースの拡充をはかっていく。平成28 年度にも文法や文化的情報などに関する聞き取り調査のための現地調査を行い、30 編程度のテキスト資料の処理を完了する。また、ここまで構築した基盤データベース群のデータを用いて、オンラインデータベースを試作し、試験運用をする。
さらに学会や現地コミュニティーでの報告やワークショップなどを通じて、他のフィールド言語学者や言語記述・再活性化活動に従事する人々とその成果を共有し、フィードバックを得てデータベースの研究資源としての質的向上に役立てる。
本研究最終年度である平成29 年度には、平成28 年度に行った試験運用の結果を踏まえて改良つつ、現地調査を行ってテキスト資料(10編程度)の分析を進め、データベース群のさらなる拡張をすすめ、完成させる。

次年度使用額が生じた理由

現地調査を予定していた時期に国際学会参加が重なり、調査期間を短縮する必要があったため、調査旅費が予想を下回った。

次年度使用額の使用計画

参加予定の国際学会が増加する予定であるため、その旅費に充当する予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2016 2015

すべて 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件)

  • [学会発表] 話しことばが新たに拓く文法研究を考える2016

    • 著者名/発表者名
      中山俊秀
    • 学会等名
      ことば・認知・インタラクション4
    • 発表場所
      東京工科大学
    • 年月日
      2016-03-25 – 2016-03-25
  • [学会発表] Noun Phrases in Discourse: Why and how might they be interesting2016

    • 著者名/発表者名
      Toshihide Nakayama
    • 学会等名
      International Symposium on the Noun Phrase as Units of Linguistic Structure and Interaction
    • 発表場所
      慶應義塾大学
    • 年月日
      2016-03-12 – 2016-03-12
    • 国際学会
  • [学会発表] Noun Phrases in Nuuchahnulth: Their place in grammar and discourse2016

    • 著者名/発表者名
      Toshihide Nakayama
    • 学会等名
      International Symposium on the Noun Phrase as Units of Linguistic Structure and Interaction
    • 発表場所
      慶應義塾大学
    • 年月日
      2016-03-12 – 2016-03-12
    • 国際学会
  • [学会発表] 複雑系としての言語の特性2016

    • 著者名/発表者名
      中山俊秀
    • 学会等名
      情報資源利用研究センターワークショップ『複雑系としての社会システム研究の可能性を考える』
    • 発表場所
      東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所
    • 年月日
      2016-03-04 – 2016-03-04
  • [学会発表] データと理論:データあっての理論か、理論あってのデータか2015

    • 著者名/発表者名
      中山俊秀
    • 学会等名
      フィールドサイエンスコロキアム
    • 発表場所
      東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所
    • 年月日
      2015-12-26 – 2015-12-26
  • [学会発表] Fixedness and unithood in Miyako and Japanese conversation: An exploration into the emergence of structure and interaction2015

    • 著者名/発表者名
      Tsuyoshi Ono, Toshihide Nakayama, Ryoko Suzuki
    • 学会等名
      14th International Pragmatics Conference
    • 発表場所
      University of Antwerp
    • 年月日
      2015-07-26 – 2015-07-31
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2017-01-06  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi