研究課題/領域番号 |
15K02512
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
永井 崇弘 福井大学, 教育地域科学部, 准教授 (80313724)
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研究分担者 |
塩山 正純 愛知大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (10329592)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 訳語対照表 / 参照版本 |
研究実績の概要 |
19世紀~20世紀のプロテスタント系漢訳新約聖書の訳語の通時的、共時的比較研究を行う基礎となる訳語対照表の作成に着手した。 まず『経文彙編』(芳泰瑞編1922年)所収の語句を聖書語彙と定義し、そこにある語彙をピンイン順に配列した中国基督教両会版をベースにして、その見出し語と聖書箇所(文書名・章節)を簡体字でコンピュータに入力を行った。研究代表者はA~Mまでを担当し、研究分担者はN~Zまでを担当した。 この訳語対照表のフォーマットを作成する一方、比較を行う聖書の版本についての検討も開始した。特に予備調査で、浅文理のグリフィス訳については、複数の版本が存在するとともに、版本間の差異が大きいことが分かり、詳細な調査が必要となった。これについては、論文「グリフィス訳浅文理新約聖書の版本とその訳文について―『馬可福音』からの考察―」(福井大学教育地域科学部紀要第6号2016年1月)において詳細な検討を行った。グリフィスの浅文理訳の版本は、1885年版、1886年版、1889年版、1898年版の4種類確認し、訳文は初版の1885年版と第二版の1886年版に間では大きな差異が見られなかったが、1889年版と1898年版に大きな差異が認められた。また、改定版と称される1889年版と後の1898年版の間にも大きな差異を確認した。これによって、訳語対照表に採るべきグリフィスの浅文理訳は、1889年版と1898年版の両者の訳語を採るのが望ましいことが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
訳語対照表に必要な見出し語および聖書箇所をすべて入力し終え、訳語対照表の電子フォーマットが完成しているため。 また、次年度以降に入力する予定の各漢訳聖書の参照版本の検討がおおむね終了している。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度の研究実施計画に基づき、平成27年度に完成した訳語対照表のフォーマットに、漢訳聖書の各版本および各文体の訳語を出版時期、文体別に、訳語の変遷が明確になるように並列して入力を行い、電子化した訳語対照表を完成させる。この前に文理訳聖書を中心に再度入力の対象となる参照版本の確認を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度におけるデータ入力が当初計画より順調に進み、データ入力補助の人件費および研究代表者と研究分担者との打ち合わせ旅費を抑制することができたため。また、本年度において次年度でのデータ入力量が膨大かつ複雑なことが判明し、そのための人件費を留保しておく必要が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度では、留保した金額を主にデータ入力補助者の人件費として、次年度配分額とあわせて使用する。
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