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2017 年度 実績報告書

ソグド語金石文の総合的研究

研究課題

研究課題/領域番号 15K02515
研究機関京都大学

研究代表者

吉田 豊  京都大学, 文学研究科, 教授 (30191620)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードソグド / 金石文 / シルクロード / 文献言語学 / 中央アジア / ソグド語 / イラン語 / クチャ
研究実績の概要

ソグド人は現在のウズベク共和国のサマルカンドを中心にした地域に居住していたイラン系の民族で,彼らが話すソグド語は印欧語族インド・イラン語派のイラン語支に属する.ソグド語は中央アジアがイスラム化する西暦10世紀頃まで話されていたが,その後民族は自身の言語を失いこの地域はペルシア語化し,さらにその後トルコ系のウズベク語が話されるようになった.ソグド人はイスラム化以前,シルクロードの交易の民として活躍し,中国や北アジアにもその足跡を残している.
ソグド語の研究は,中国の敦煌とトルファンで出土する,紙に書かれた経典類をもとに行われてきている.しかしわずかではあるが,紙以外の媒体に記された所謂金石文もわずかながら残されている.これらは言語資料としては零細でありながら,出土する地域は分散しており,それらが書かれた時代もさまざまである.ほとんどのものは風化など経年による銘文の劣化が著しく解読は困難を極める.ただ,これら金石文が持つ歴史的な情報は極めて重要で,一々の銘文の解読だけでなく,全体像の把握もまたイスラム化以前の中央アジアの歴史を考える上では重要な意味を持つ.本研究費を申請した所以である.
3年間の申請期間のうちに2度キルギス共和国を訪問し,金石文の調査を行った.現地で発掘される陶片文書の解読や,タラス河に注ぐ支流の谷にある岩壁銘文の調査を行った.これらの現地調査以外に,出土するコインの写真の提供を受け,その銘文を解読して,ソグド語圏のなかでコインを発行した支配民族や発行の時代などの歴史的背景の考察を行った.さらに,京都大学が戦前に入手した拓本等を用いて,モンゴル高原で発見されたソグド語碑文の解読作業を現在も続けている.また中国の研究者から,中国新疆ウイグル自治区のクチャ地区の千仏洞で発見されたソグド語の落書き類の写真を提供され,一応の解読を終えた.

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (6件) (うちオープンアクセス 2件、 査読あり 5件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 4件、 招待講演 3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 貨幣の銘文に反映されたチュルク族によるソグド支配2017

    • 著者名/発表者名
      吉田豊
    • 雑誌名

      京都大学文学部紀要

      巻: 57 ページ: 155-182

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] Relationship between Sogdiana and Turfan during the 10th - 11th centuries as reflected in Manichaean Sogdian texts2017

    • 著者名/発表者名
      Yutaka Yoshida
    • 雑誌名

      Journal of the International Silk Roads Studies

      巻: 1 ページ: 113-125

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] ソグド語訳『楞伽師資記』と関連する問題について2017

    • 著者名/発表者名
      吉田豊
    • 雑誌名

      東方学

      巻: 133 ページ: 31-52

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Middle Iranian Terms in the Xiapu Chinese Texts: Four Aspects of the Father of Greatness in Parthian2017

    • 著者名/発表者名
      Yutaka Yoshida
    • 雑誌名

      Manichaeism, East and West

      巻: 1 ページ: 249-256

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 西安出土北周「史君墓誌」ソグド語部分訳注2017

    • 著者名/発表者名
      吉田豊
    • 雑誌名

      ソグド人墓誌研究

      巻: 1 ページ: 61-80

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 唐代におけるマニ教信仰―新出の霞浦資料から見えてくること2017

    • 著者名/発表者名
      吉田豊
    • 雑誌名

      唐代史研究

      巻: 19 ページ: 22-41

    • 査読あり
  • [学会発表] Three scenarios for the historical background of the Xi’an Sino-Pahlavi inscription2017

    • 著者名/発表者名
      Yutaka Yoshida
    • 学会等名
      The History and Culture of Iran and Central Asia in the First Millennium CE: From the Pre-Islamic to the Islamic Era
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] On the Sogdian Karmavibhanga and the related problems2017

    • 著者名/発表者名
      Yutaka Yoshida
    • 学会等名
      Exchange of languages, religions along the Silk Road
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] On some aspects of the early phase of the Uighur Manichaeism2017

    • 著者名/発表者名
      Yutaka Yoshida
    • 学会等名
      International conference of the International Association of Manichaean Studies
    • 国際学会
  • [学会発表] キルギス共和国を中心としたソグド語文字資料2017

    • 著者名/発表者名
      吉田豊
    • 学会等名
      シルクロード学研究会
  • [学会発表] 西突厥とソグド語およびソグド文字2017

    • 著者名/発表者名
      吉田豊
    • 学会等名
      Eurasian Civilization and Altai
    • 国際学会 / 招待講演
  • [図書] 敦煌・吐魯番文書の世界とその時代:コータンのユダヤ・ソグド商人?2017

    • 著者名/発表者名
      吉田豊・土肥義和・氣賀澤保規他
    • 総ページ数
      493
    • 出版者
      汲古書院
    • ISBN
      978-4-7629-9565-1

URL: 

公開日: 2018-12-17  

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