コーパスを利用してデータ収集し,限定詞を持たないフランス語の名詞文について,その生起環境を精査した。そしてこの構文で使われる名詞の性質と,構文の統語的性質を同定した。さらに前後の文脈との関連を調べ,情報構造を明らかにした。この構文の研究から,将来的に内的独白および話法との結びつきを明らかできる見込みである。さらに本年度は日本語とフランス語の対照研究にも重点をおいた。その成果は,12月16日17日に名古屋大学でのシンポジウムで発表した。なおこの折の研究成果の一部は,2018年7月にベルギーのモンス大学で開催される第六回フランス語学世界大会で発表する予定で,同学会のジャーナルに掲載が決定している。 これ以外に研究成果の一般公開及び学術交流の機会として,国際研究集会一回,講演会2回を大阪府立大学で開催した。まず5月27日に「コーパス研究の現在―データから見る言語の実態」のテーマで研究集会を開催した。この会には研究協力者のガブリエル・ベルグニュを招へいし,国立国語研究所・専修大学准教授の丸山岳彦氏を迎えて,日仏の研究交流を促進した。7月27日には,リエージュ大学現代言語研究所講師のLaurence Wery氏を迎え,「ベルギーのフランス語」と題して,言語変異について,ベルギーのフランス語を例にとった講演会を行った。9月17日には,リエージュ大学現代言語研究所所長で,国際フランス語連合会長のJean-Marc Defay氏を迎え,「「テクスト 言語・認知・社会文化」をテーマとして「言語学的・認知的・社会的アプローチの交差点としてのテクスト」のタイトルで講演会を行った。
|