我々は母語に存在する子音クラスタと母語に存在しない子音クラスタとで、発話者の調音運動に差があるかどうかを舌位置を精密に測定することにより検証した。発話者は英語母語話者と日本語母語話者である。WAVE (NDI Corp.)を用いて舌先と下顎、下唇の運動を記録した。英語母語話者では母語と非母語で下顎と下唇の運動に顕著な差が見られた。母語ではすべての発話でほぼ同じ調音動作が生じていたが非母語では発話ごとの調音運動の差が大きかった。日本語母語話者はすべてのクラスタで発話ごとの調音運動の差が大きかった。英語母語話者においても母語に存在しないクラスタでは調音運動にばらつきが生じることが明らかになった。
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