研究課題
「雲南漢語方言声調系統的地理分布和譜系関係」と題する発表を2015年10月24日にチベット・ビルマ諸語/タイ・カダイ諸語研究会,於神戸研究学園都市UNITYにて行った。これは雲南省の中国語100地点以上について声調体系の地理分布を言語地図化し,その系統関係を推測したものである。また,“Problems in Yunnan Dialect Geography, with special reference to the Yunlüe Yitong 韵略易通”と題する発表を2016年3月10日にInternational Workshop on the History of Colloquial Chinese (at Rutgers University)にて行った。これは雲南の諸言語,中国語・チベットビルマ語・タイカダイ語・ミャオヤオ語・オーストロアジア語の諸方言において,am/an/angという韻母の体系が弱化合流していくプロセスを言語地図に描画して追跡したものである。その結果,チベットビルマ語において鼻音韻尾の消失や合流が最も大きく進行しており,中国語雲南方言はそれと類似した側面もあるが,異なった点も少なくないことが明らかとなった。こうした研究を通して,既に雲南省の主要言語群の諸方言のかなりをカバーする地点について描画化する基礎作業も完了し,次年度以降のより系統的な研究の出発点とすることができた。また,雲南とその周辺(タイ・ラオスなども含む)の中国語およびタイカダイ語のいくつかの方言の主として声調について現地調査を行った。関連する諸資料の文献収集も系統的に行い,特に地方誌に収められた中国語方言の記述はほぼ網羅することができた。
2: おおむね順調に進展している
今年度は諸言語の方言資料・言語史資料・関連する歴史地理などの文献収集を系統的に行い,すべての語族について出発点となる地点の経度緯度情報を入力することが当初の目標であったが,いずれも達成した。更に,声調とa+鼻音のタイプの韻母の言語地図もケーススタディとして描画し,その解釈について研究発表を行った。
前年度の基礎の上に立って,さらに語彙項目などを増やして多くの言語地図を作図し,解釈を与えていく。もう二年度内で『雲南言語地図集』の第一集を構成できるに足るだけの分量の言語特徴に関する言語地理学的研究を蓄積していく。同時に現地調査で得た資料の音響分析なども行い,記述言語学的研究も進める。また,資料収集や現地調査も引き続き行い,そうした研究成果を積極的に国内外の研究集会において発表し,かつ論文化していく。
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Studies in Asian Geolinguistics
巻: 1 ページ: 印刷中
Keizai Kenkyu, Aoyama Gakuin University
巻: 7 ページ: 1-31
http://www.aa.tufs.ac.jp/ja/projects/jrp/jrp210
http://agsj.jimdo.com/