研究課題/領域番号 |
15K02529
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研究機関 | 津田塾大学 |
研究代表者 |
小野 創 津田塾大学, 学芸学部, 准教授 (90510561)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 日本語 / 文処理 / アスペクト情報 |
研究実績の概要 |
2016年度は、日本語のアスペクト矯正について実験を実施し、読み時間データを分析した。意味論的な境界が比較的明確ではない名詞と、それが比較的明確である名詞を用いることで、動詞句全体のアスペクトに関する性質を操作することを目的とした。結果としては、その点についての効果は安定せず、刺激文の選定について再度検討する必要が明らかになった。 英語以外のヨーロッパ言語についてのアスペクト強制について、ドイツの研究者と協力して実験計画を進めている。ドイツ語の活動動詞と時間副詞について、自己ペース読文課題の実験を準備し、現在データを収集している。読み時間データを分析したのち、その結果を踏まえて事象関連電位計測実験に生かせるような計画を立てている。 これまでの成果発表として、2件招待講演を実施した。アスペクトに関する処理に大きな役割を果たすと思われる動詞の予測について主に講演した。これまでのアスペクト処理に関する研究でも、動詞句内の様々な要素(副詞、目的語など)からどのような動詞が登場するのかについて非常に緻密な予測が行われていることが明確である。また、得られた効果についての解釈をする際に、アスペクト情報の強制が行われていることによる認知負荷や予測の不一致による認知負荷を上手に分離することが求められていると考えられる。 その他の成果として、国立国語研究所において公開されている現代書き言葉均衡コーパスを用いて、それに読み時間データを付与する研究を実施し、学会や研究会で発表した。読み時間をアノテーションとして付与することで、非常に幅広い文タイプからどのような傾向が読み取れるかという課題を解決することができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在、実験実施に向けて準備を進めている。実験の助手を雇用することを計画していたが適当な該当者が見つかっていない。今後も候補者の選定を進める。実験の機材などは概ねそろっているが、バックアップのPCなどが必要だと考えるので、補強を進める。
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今後の研究の推進方策 |
2017年度は、日本語や英語について、読み時間の実施を計画している。とくに、目的語の性質とアスペクトの関連について、実験を計画・実施する。その結果を元に事象関連電位計測の実験を計画し、組み合わせて発表することを計画している。また、積極的に外部の研究者と情報の交換をする。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究補助員の優秀な候補が見つからず、謝金などの支出が計画よりも少なかった。
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次年度使用額の使用計画 |
代わりに、複数名の短期契約アルバイトを雇うことで次年度に支出する計画を立てている。
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