研究課題/領域番号 |
15K02529
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研究機関 | 津田塾大学 |
研究代表者 |
小野 創 津田塾大学, 学芸学部, 准教授 (90510561)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 心理言語学 / 日本語 / ドイツ語 / アスペクト / 文処理 |
研究実績の概要 |
2018年度はアスペクト強制現象と被験者の心理学的な属性との関連について研究を進めた。自閉症スペクトラム指数(AQ指数)を用いてデータを再分析し、AQ指数の高い被験者は抽象度の高い(具象性が低い)事象の処理に関して、AQ指数の低い被験者に比べて時間がかかるということが明白に示された。その成果は、国立リハビリテーションセンター(埼玉県所沢市)で開催されたシンポジウム『発達障害者の言語:階層性と意図共有の接点』において招待講演を行なった。シンポジウムにおいてはこれまであまり行われてこなかった言語処理における負荷と様々な心理測定値との関連が紹介され、非常に密度の濃い情報収集をすることができた。そこでの研究者との議論を踏まえ、追加の実験計画を作成し、準備を行なっている段階である。 以前より進めているドイツの言語研究機関であるZASとの共同研究に関しては、日本語の格助詞「は」「が」「も」などが生み出す意味・語用論的の効果(例えばexhaustivity)について実験の実施と分析を進めることができた。その成果については、2018年10月に米国・ボストンにて開催された学会にて発表を行なった。そこでは抑揚などの音韻的条件の操作や、実験の条件の設定に関して詳細なコメントをもらうことができた。並行して進めているドイツ語での実験の成果とともに、現在論文を執筆中である。また、引き続き進めているドイツ語のアスペクト強制現象の実験については、研究アシスタントの不足などによってやや進捗が遅れているが、データが集まりつつあり、分析についての詳しい打ち合わせをしながら研究計画を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の研究計画においては2018年度が最終年度であり、海外の協力者を交えてのワークショップの開催を予定していた。計画段階において、それらの研究者が自身の家庭や所属機関の事情で来日することが難しくなり、ワークショップの開催を断念した。そのため、研究期間の延長を申請し認められた。
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今後の研究の推進方策 |
上で述べたように研究期間が1年延長されたので、残された予算の範囲内で実験の追試などを実施し、また研究者同士の打ち合わせを行い、この研究計画で得られた成果をさらに発展させるための準備を行う予定である。引き続き成果に関しては論文準備を進め、成果の公開に努めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の研究計画においては2018年度が最終年度であり、海外の協力者を交えてのワークショップの開催を予定していた。計画段階において、それらの研究者が自身の家庭や所属機関の事情で来日することが難しくなり、ワークショップの開催を断念した。 残された予算の範囲内で実験の追試などを実施し、また研究者同士の打ち合わせを行い、この研究計画で得られた成果をさらに発展させるための準備を行う予定である。
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