本研究は現代韓国語の脱規範的な活用形式が実際に用いられた用例を収集し、用例データベースを作成し、それが現れる様相を明らかにすることを目的としたものである。 2016年度にデータベースと調査結果をもとに、アンケート調査を行った。そして、最終年度にはその調査をまとめる作業を行った。その結果、韓国語研究者や母語話者の予想をも超えた広範囲にわたり脱規範的な活用形態が用いられていることを明らかにすることができた。 脱規範的な活用形態には様々なパターンが存在する。例えば、母音調和を守らないパターンのものであれば、陽母音であるべき母音が陰母音になった脱規範的形態が用いられるということは経験的にもよく知られていた。それとは逆にもともと陰母音であるべき母音が、陽母音になった脱規範的活用形態はまず現れないであろうと考えられていた。しかし調査の結果、陽母音が陰母音になるものに比べると少ないが、陰母音が陽母音になった脱規範的形態がかなり広範囲に用いられていることが判明した。他のパターンにおいてもほぼ全てと言っていい範囲で脱規範的活用形態が用いられていることが判明した。これは今までのどの研究でも明らかにされてこなかったことであり、韓国語の活用を論じる上でも、韓国語教育においても無視することができない大きな問題であると言える。ただ残念ながらどのような条件のもとで脱規範的な活用形態が用いられるのかまで記述するまでには至らなかった。
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