研究課題/領域番号 |
15K02535
|
研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
田中 弥生 神奈川大学, 外国語学部, 非常勤講師 (90462811)
|
研究分担者 |
水澤 祐美子 成城大学, 文芸学部, 准教授 (10598345)
浅原 正幸 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (80379528)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 談話分析 / 修辞機能 / 修辞ユニット分析 / 脱文脈化 / 文脈化 / テキスト分析 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,日本語における「修辞ユニット分析」の手法を確立し,テキスト分析における「修辞機能」及び「脱文脈化程度」の概念の利用を提案するとともに,自動化を検討することである. 日本語における「修辞ユニット分析」はインターネット上のテキスト(QAサイトや口コミサイト)を分析対象として始められたが,分析に際して,談話やテキストの発生する状況の検討も必要であることから,話し言葉(職場などでの談話資料)や書き言葉(日本語非母語話者に向けた「チラシ」やその「チラシ」の作成時を振り返る作文),児童・生徒によって書かれた作文)を分析対象として追加してきた. 3年目となる平成29年度は,書き言葉の分析を進めた. まず,別の研究で実施されていた「チラシ」のわかりやすさ評定順位の優劣とその「チラシ」の特徴,チラシ作成時の意識についての振り返りコメント作文の特徴,さらにチラシのわかりやすさと振り返りコメントの関連の有無について,修辞機能と脱文脈化程度の観点から考察した.また,読み手の行動を促す意図のある2種類の「チラシ」と,読み手の行動を求める必要のないそれぞれのチラシについての振り返りコメント作文における,修辞機能の違いについても分析した. さらに,児童・生徒による作文データについては,特に,述語動詞の確認,及び,主語と主題の確認に焦点をあてて分類を行った. 「チラシ」の分析については,学会発表及び論文投稿を行い,2件掲載された.児童作文については,学会発表を行った.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度(平成27年度)にはインターネット上の書き言葉から分析を始め,分析基準の検討を行う予定であったが,その後談話データを用いた話し言葉の分析,さらに,チラシや作文という書き言葉の分析をする機会を得たため,様々な場面について検討を進めることとなった.また,エフォートの確保が困難になった事情や,アノテーション作業の遅れなどもあった.
|
今後の研究の推進方策 |
これまでに行ってきた「インターネット上の書き言葉」「談話における話し言葉」「チラシや作文などの書き言葉」についての「修辞ユニット分析」適用における諸問題をまとめたうえで,それらの問題点について検討を加えた日本語「修辞ユニット分析」手法を提示していく.その上で,談話・テキスト分析における「修辞機能」及び「脱文脈化程度」の概念の利用の提案を行い,『現代日本語書き言葉均衡コーパス』へのアノテーションにも着手する予定である.
|
次年度使用額が生じた理由 |
未実施のアノテーション作業があるため未使用分が生じた.当該のアノテーション作業は次年度に実施する予定である.
|