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2018 年度 実績報告書

日本語の何が心の理論の発達を決定づけるのか

研究課題

研究課題/領域番号 15K02537
研究機関京都産業大学

研究代表者

鈴木 孝明  京都産業大学, 外国語学部, 教授 (50329926)

研究分担者 小林 哲生  日本電信電話株式会社NTTコミュニケーション科学基礎研究所, 協創情報研究部, 主幹研究員 (30418545)
野村 潤  京都女子大学, 文学部, 准教授 (10571474)
三浦 優生  愛媛大学, 教育・学生支援機構, 講師 (40612320)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2019-03-31
キーワード言語発達 / 心の理論 / 心的状態動詞 / 日本語 / 補文
研究実績の概要

日本語の定形補文の獲得と心の理論の発達に関しての調査を行った。定形補文の獲得に関しては、補文の意味内容が真実とは異なる状況を提示し、被験者が正確に答えられるかどうかを調べる補文課題を行った。前年度の調査では、フィラーとして含めた真実質問への誤答が目立ったため、真実質問をコントロールとして実験文に加えて、5歳児と7歳児を対象とした実験を実施した。その結果、補文課題が正確に理解できるのは7歳児で、5歳児は困難であることがわかった。
心の理論の発達を調査する誤信念課題に関しては、3つの問題に正解した被験者を合格者として、その数と割合を算出した。結果は、補文課題同様、誤信念課題が理解できるのは7歳児であることがわかった。
これら2つの課題の関連性を探るため、それぞれの課題の合格点を定めてその通過人数を分析した結果、両方の課題に合格した被験者は9名(平均年齢=7歳3ヶ月)で、両方とも不合格だったのは3名(平均年齢=5歳11ヶ月)だった。また、どちらかの課題に合格し、もう一方に不合格だった被験者は合計9名いたが、これらの分布からどちらか一方の課題が他方よりも難しいというような方向性は見られなかった。また、両方の課題の通過人数に関して、統計的に相関関係は見られなかった。
これらの結果から、日本語獲得児にとって定形補文の理解も誤信念の理解も5歳児では難しく、英語と比べると1年から2年の遅れがあると考えられる。補文獲得が心の理論発達に貢献するという提案に基づくと、日本語獲得児に見られる心の理論発達の「遅れ」は補文獲得の「遅れ」が原因である可能性が考えられるが、2つの課題に相関がなかったことから、日本語獲得児にとっては、心の理論発達と補文獲得は因果関係にあるのではなく、それぞれが独立して発達する可能性もあると考えられる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] 日本語における信念質問文の処理と理解2018

    • 著者名/発表者名
      鈴木孝明
    • 雑誌名

      心理学研究

      巻: 89 ページ: 403-408

    • DOI

      10.4992/jjpsy.89.17319

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2019-12-27  

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