研究課題/領域番号 |
15K02544
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
尾鼻 靖子 関西学院大学, 理工学部, 教授 (60362141)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 敬語 / 皮肉 / 起源 / てくれる |
研究実績の概要 |
29年度は次のプロジェクトに携わった。1)敬語の起源とその足跡について、2)「てくれる」という助動詞の語用論的分析。 1)に関しては、29年7月にInternational Pragmatics Conferenceでパネル発表に招待され、発表した(単著)パネルの発起人がJohn Benjamins Publishersと交渉して、パネルの発表者たちの論文を1冊の本にまとめて出版する方向となった。現在その論文を執筆中である。同じトピックで日本語で論文をまとめたものが、関西学院大学の紀要に3月掲載された。 2)「てくれる」という助動詞については海外研究協力者との共著で、East Asian Pragmaticsという雑誌に投稿し、acceptされた。30年度秋の号に掲載される予定である。校正は全て終了している。また、Queensland 大学(豪州)のセミナーで同じタイトルで依頼講演を行った(29年8月) 上記は研究論文や発表についてであるが、次のプロジェクトに向けてデータの処理を現在行っている。3)敬語と皮肉について。関連図書の閲覧を行いながら、書き起こしたデータ(市販のドラマや映画など)から敬語と皮肉が絡み合っている発話を取り出し、それを表にまとめ、分析をしている。このプロジェクトについて30年度11月、ニューヨークのAmerican Pragmatics Conferenceで共同発表を行う予定である。海外研究協力者とともにパネルを組み、合計4人が'irony, sarcasm and impoliteness'というテーマで発表する予定である。このプロジェクトに関しては30年8月に海外研究協力者と打ち合わせを行い、執筆する論文の構成について話し合い、また発表についても打ち合わせをする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
海外研究協力者との連絡が29年ごろからスムーズになり、30年度は4年目で延長の年であるが、予定通り計画していたプロジェクトは終了する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの成果は、新規に取得した科研費(30年度~32年度)を利用した研究につながっていく予定である。まず、敬語については皮肉や批判のコンテクストでどのような効果につながるのかをさらに調べてみたい。敬語そのものには皮肉や批判の意味を保有しているわけではないが、直接批判するのと敬語を付加した批判とではどのような心理的効果があるのか、が次の段階で問われているので、この社会心理的な面を掘り下げていきたい。また、これまでの成果と30年度から32年度に新たに追加したプロジェクトの成果とを合わせて、共著で著書を一冊仕上げていく方向である。 さらに、敬語についての語用論的分析は、呼称についても拡張し、敬語と呼称の関係も調査していくつもりである。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外研究協力者の都合上、初年度は研究成果があまり進まず、データの収集や図書の閲覧で終わっているため、研究発表やデータの書き起こしなどが遅れる傾向にあり、それが今回の延長につながったため、共同研究発表は30年度に持ち越されることになった。
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