本研究は、19世紀半ばから20世紀半ばにかけてロシア北東部、シベリアにおいて収集されたユカギール語資料の古文献や未刊行資料の調査・収集・整理をとおして、言語データのデータベース化とその言語学的分析をおこなうことを目的とするものである。研究計画期間最終年度である平成30年度は、次のような活動をおこなった。 1. W. ヨヘルソンが19世紀末に記録した原文テキスト(Jochelson 1900)への形態情報のアノテーション作業および形態情報から統語ツリーを生成するためのスクリプトの改良を継続した。 2. この19世紀末のテキストを元に、格標示および焦点構文の分析を昨年度に引き続いて進め、焦点構文の歴史的変化に関する論考を学術雑誌に発表した。 3. ロシア科学アカデミー東洋写本研究所(サンクトペテルブルク)に保管されているユカギール語資料の調査を実施した。そのうち、資料として極めて価値の高い、W. ヨヘルソンによるユカギール語・ロシア語辞書、および原文テキスト(未刊行のものを含む)の手稿を閲覧し、複写申請を行った。
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