北陸日本海域に所在する往来物資料について、書誌的文献学的な紹介とともに、その分布と偏在状況を提示した。近世期における北陸の諸地域の教育環境や文化的背景を考察検討するうえで、それら資料が重要な示唆を与えてくれるものであることが判明した。 研究成果のひとつは、今まで知られていなかった新資料を発見し、地域の教育事情を検討考察したことである。もう一点は、新潟は江戸出版の資料の割合が大きく、石川では、距離的に近い関西(京都・大坂)出版の資料数が多いなど、北陸の地域特性や地域間格差の一面を明らかにしたことである。
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