本研究は、はじめて訓点資料に触れる人に向けた「訓点資料入門」を作成することを目的とする。同時に、その「入門」を用いて大学院生などの若手研究者を育成し、その若手研究者と共同で訓点資料の原本実地調査・研究を行うことを目的とする。「入門」を教育に実用することにより、プロトタイプの「入門」を段階的に改訂し、同時に若手研究者育成と研究の進展を目指す。 その目的を達成するため、本年度は、若手研究者と共同で原本の実地調査を行い、可能な場合には撮影も行った(京都大学・高山寺・高野山大学図書館・勧修寺・天理図書館など)。同時に、訓点資料の所在について、京都大学所蔵の資料と高野山大学図書館所蔵資料を中心に調査を重ね、今後の調査のための基礎データとした。 その過程で、「訓点資料入門」を実用しながら、入門に必要となる内容について若手研究者からヒアリングを重ね、「訓点資料入門」の検討・改訂を進めた。 韓国の訓点資料(口訣資料)を扱う口訣学会に参加し(2017年8月)、訓点資料とも関わりの深い日本の古辞書について招待発表を行った。加えて、中国の香港城市大学からの依頼で英語で講義を行い、訓点資料についても触れた(2018年3月)。 以上の研究成果を論文等で公表した。うち一本は韓国語で発表予定であり、国際的な情報発信につとめた。
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