研究課題/領域番号 |
15K02569
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
又吉 里美 岡山大学, 教育学研究科, 准教授 (60513364)
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研究分担者 |
中島 由美 一橋大学, その他部局等, 名誉教授 (20155732)
小嶋 賀代子 (下地賀代子) 沖縄国際大学, 総合文化学部, 准教授 (40586517)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 琉球方言 / 宮古方言 / 日本語学 / 言語地理学 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、宮古群島域を対象に、音声・文法面を中心とした地域差に注目した調査を実施し、言語地理学的手法を活用して言語変化過程の推定につなげることである。また、次世代への言語継承および言語文化の保存等を目的として、音声動画付き地図を作成することである。平成29年度における本研究の実施状況は以下のとおりである。 ①宮古島中心部、南西部、および池間島を中心とした調査の実施(第3回本調査:平成29年9月/補充調査:平成30年3月)②調査データの整理、③音声動画付き地図の作成 研究の具体的な内容は次のとおりである。①については、平成29年度は9月に第3回本調査を実施した。調査地域は、下里、上野、西原、池間島、佐和田(伊良部島)である。調査は原則70歳以上の高年層を対象とし、調査項目として、1)音韻、2)語彙について調査をおこなった。平成30年3月には、同様の調査を来間島、保良、高野(水納島出身の話者)にておこなった。②については、本調査、補充調査の調査データの整理である。特に、中舌母音の出現状況についてデータの整理をおこなった。③については、昨年度に引き続き、音声動画付き地図を試作した。各地点における中舌の出現を動画にて確認できるのが本成果の一つである。発音だけでなく、唇の形を確認することができ、また、話者による発音の解説も見られる。また、これら本研究の成果を言語継承において、有効に活用していくために、どのようなアプローチをしなければならないかを考える必要がある。言語継承活動を行う場の一つとして、学校現場が挙げられる。学校現場における方言学習の実態をとらえるため、宮古地域における小中高等学校の教員を対象に、方言学習の取り組みについてのアンケート調査を実施した。これらの結果を踏まえて、方言資料と言語継承、また、学校教育における有機的かつ効果的な取り組みや活用を提案していきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年度内におこなうべき調査はおおむね遂行できたが、文法項目については遅れが生じているが、音韻、語彙については予定どおり遂行できている。その他平成29年度の研究内容として予定していたもののうち、遂行できていないものは、宮古島および宮古島周辺群島域における言語変化過程の分析、及び変化モデルの構築とその検証である。分析等はデータ整理および言語地図作成と連動するが、平成29年度は、データ整理、および言語地図の仮作成にとどまっている。 平成29年度の調査で、調査予定としていた地域の調査をすることができたので、調査データの整理を進めるとともに、言語地理学的な手法にて 言語変化過程の分析、および変化モデルの構築と検証について討究していく。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題における今後の推進方策は以下のとおりである。 ①平成29年度に実施した調査のデータ入力と整理を速やかに行い、調査データの分析を進め、研究論文等で調査資料として発表する。 ②文法項目については遅れが生じているが、当初の調査項目を再度見直し、重要な文法項目を抽出して調査を行い、また、過去におこなった調査データを再度見直し、整理するように努める。 ③音韻、語彙の分布状況から言語変化過程について分析し、変化モデルを討究し、論文や研究発表にて成果発表する。 ④平成30年度は、データ整理および言語地図の作成を中心としながら、必要な地点および項目についての調査を実施する。 ⑤音声動画付き言語地図を地図集として作成するとともに、保存継承における活用方法について検討していく。特に、学校現場や地域コミュニティにおける活用のあり方を提案できるように努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)物品費として計上していた文に差額が生じたため。 (使用計画)次年度の物品費に組み込んで使用する予定である。
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