研究課題/領域番号 |
15K02573
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岸本 恵実 大阪大学, 文学研究科, 准教授 (50324877)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 辞書学 / 宣教言語学 / 日本語学 / キリシタン版 |
研究実績の概要 |
1.アレクサンドル・ド・ロードと日本キリシタン版との関係 イエズス会士アレクサンドル・ド・ロードは1623年頃マカオコレジオで日本語を学習し、ベトナム(コーチシナ・トンキン)派遣後も日本語を使用する機会があったと考えられるが、ロードによる『ベトナム語ポルトガル語ラテン語辞書』(1651年ローマ刊)には、日本語からの借用語が若干見られるものの、キリシタン版辞書からの直接的な影響は見出しがたい。しかし、ロードの辞書に付されている「ベトナム語概説」には、ロードがマカオで使用したと思われるジョアン・ロドリゲス著『日本小文典』(1620年マカオ刊)が典拠になったとみられる箇所がある。 2.ジョアン・ロドリゲスと中国語ローマ字表記 ジョアン・ロドリゲスは日本追放後、マカオなどで本格的に中国語を学んだとみられ、ローマ字表記の中国語の語彙が『日本小文典』および『日本教会史』に含まれている。そのローマ字綴りは、土井忠生(1982)の指摘があるように中国イエズス会士ニコラ・トリゴーによる『西儒耳目資』(1626年刊行)と一部異なるが、トリゴーと若干異なるマテオ・リッチの綴り方とも一致するようではない。 3.ヘルツォーク・アウグスト図書館蔵ローマ字本『コンテンツスムンヂ』 ドイツ・ヴォルフェンビュッテルのヘルツォーク・アウグスト図書館にて、キリシタン版ローマ字本『コンテンツスムンヂ』(1596年刊)が発見されたとの報を受け、原本調査を行った。おそらく天草で刊行された本書について、これまで現存が知られていたのはミラノ・アンブロジアーナ図書館本・オックスフォード大学ボドレイ図書館本の2本であるが、ヘルツォーク・アウグスト図書館本はこれら2本と比べると校正前と思われる箇所がやや多い。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本宣教と密接なかかわりがあるベトナム・中国の資料も視野に入れた研究を行い、その成果を公表することが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
研究成果をすみやかに論文・研究発表として公表する。その際国外への発信として、英語で執筆したり、国際学会での発表することも行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度計画していた在外の図書館における資料調査が、日程調整の結果年度内の実施が叶わなくなったため、次年度実施の予定である。
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