研究課題/領域番号 |
15K02574
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研究機関 | 國學院大學 |
研究代表者 |
諸星 美智直 國學院大學, 文学部, 教授 (00220111)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 福祉言語学 / 福祉言語教育学 / 点字史 / 近代点字資料 |
研究実績の概要 |
これまで現代語が中心であった福祉言語学について、福祉言語教育の明治期の近代教育の開始とともに始まった福祉言語教育史の研究を確立することがのぞまれる。ことに資料保存の必要性の緊急度が高く、独自の表記体系をもち、日本語学の研究対象としても価値のある近代日本語点字資料の保存と整備を行い、今後の福祉言語学・福祉言語教育史研究の基礎的資料を作成することが本研究の目的である。とりわけ実際の点字資料にアクセスすることも困難なため言語研究・言語教育の視点からの研究が十分ではなく日本語点字文のコーパスも未整理である。また、日本点字の歴史的資料は紙面の凹凸を蝕読するため、摩滅の危険が視読文字よりもはるかに高いことも言語研究を困難にする点である。 その基礎資料の整備の一環として各学校に保存されている近代点字資料の整備・データ化の緊急度は高いといえる。そこで、明治期に開校して日本点字考案者である石川倉次が勤務した東京盲唖学校を前身として近代日本語点字資料のうちの貴重書を多数所蔵する筑波大学附属視覚特別支援学校を連携研究者とともに訪問し、調査を行っている。これにより、点字史の上で重要な同学校所蔵の点字雑誌の『むつぼしのひかり』を主たる調査資料として選定した。現在、資料を写真撮影して点字の凹凸がはっきりとわかるように画像加工を施して画像保存を行い、テキストデータ化して校正を経て形態素解析を行い、コーパスを作成するための準備を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
近代点字資料を調査して、データーベース化すべき点字資料の選定を行った。ついで、データーベース化のための写真撮影・、データ化の作業の段階であるが、業者選定とデータ突き合わせ作業について、当初の平成27年度の研究計画に照らして、やや遅れがちである。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画通り、点字資料の写真と墨字データの突き合わせによる校正・確認作業を行いデータ化を進める。ついで、作成したテキストデータの形態素解析を行い、コーパスを作成する。整備した画像データとテキストデータを紐付けして、CD-ROM等の記憶媒体に保存し、希望者に頒布できるようにする。ついで、作成したデータをもとに書誌情報などの基礎的な調査を行い、学会発表・報告書作成を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度中に予定してした点字資料の撮影とデータ化の作業が当初の研究計画に比してやや遅れているため該当年度の支出額が予定より少なくなり、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度において点字資料の撮影とデータ化作業を速やかに実施して、当初の研究計画通りに当該助成金を使用する予定である。
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