本研究課題は、「近代日本語のテンス・アスペクト・モダリティ体系の変遷に関する統語論的研究」であり、前研究課題の「近代日本語のテンス・アスペクト・モダリティ体系の変遷に関する言語類型論的研究」を発展的に引き継ぐものである。なお、本課題の研究成果が、国語教育に応用できることも明らかになり、2019年度も期間を延長して研究を行うことにした次第である。本年度の主要な研究実績を以下に述べる。
主要実績 第136回全国大学国語教育学会(日時:2019年6月1日、場所:茨城大学 水戸キャンパス)において、「古典文法の授業はなぜ苦痛なのか―古典文法書の「む」「むず」の調査から原因療法を探る―」というタイトルで学会発表を行った。さらに、当該学会発表の内容に大幅に手を加えたものを、学術雑誌『実践国文学』に、投稿する予定である。2019年度の1月以降、COVID-19(いわゆる新型コロナウイルス)の影響により、かなり大きな制約が出てしまった。このため、当初予定していたもう一つの投稿論文の投稿時期が大幅に遅れている。また『実践国文学』への投稿論文も、非常事態宣言自体は解除されたものの、極めて特殊な状況下での編集作業となるため、通常とは異なった進捗となる。しかし、「国語教育への応用」という点を考えると、国語教育系学会の中で最大規模をほこる学会の一つ、全国大学国語教育学会で、学会発表ができたことは、本研究成果が学界(学会)の水準をクリアしていることの客観的な指標になると判断でき、目標を達成できたといえる。加えて、国文学研究において長い伝統を有する、『実践国文学』に投稿することも意味があると判断している。
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