本研究は、文学作品や、マンガ・ドラマなどの大衆的創作物や、地域方言を資源とした言語景観や言語サービス、メイル・SNSなどインターネットを通じた「打ちことば」コミュニケーションに典型的に現れる仮想の方言、すなわち「ヴァーチャル方言」を研究対象とした。ヴァーチャル方言は、リアルな言語社会との往還関係によって成立するものであり、広く一般への影響も大きい。本研究は、この端緒についたばかりのヴァーチャル方言研究に多角的かつ国際的視点を導入し、その確立とさらなる展開を目指すことも目的のひとつとした。 研究分担者・連携研究者らと連携し、本研究課題の成果公開学術シンポジウム(早稲田大学演劇博物館共催、日本大学国文学会協賛、2018年03月09 日、於:早稲田大学小野記念講堂、登壇者:金水敏、児玉竜一、吉川邦夫、大森洋平)の開催と、それに基づくブックレットの刊行(『時代劇・歴史ドラマは台詞で決まる!―世界観を形づくる「ヴァーチャル時代語」―』笠間書院、共編著者:金水敏、児玉竜一、共著者:吉川邦夫、大森洋平、2018年12月)を行った。本研究課題に関連した国際会議における学術招待講演に、次のようなものがある。「The “Dialect Cosplay” Phenomenon: Detaching Regional Dialects from Geographic Localities」( The Sixteenth International Conference on Methods in Dialectology METHODS XVI (Methods16) Plenary Talk、2017年08月08日、於:国立国語研究所)。 この他、各種調査を積み重ね、随時、さまざまなかたちで成果公開を行った。成果公開時には、本研究のさらなる展開に資するさまざまなかたちでフィードバックを受けた。
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