本年度は、前半に県内西部の日田市地域の調査を行った。6月10日に日田市天瀬地区の中学生、6月11日に日田市天瀬地区の高年層、7月18日に日田市出身の大学生の男女2名ずつ4名のロールプレイ調査を行った。その際、連携研究者二階堂整(福岡女学院大学教授)、研究協力者杉村孝夫(福岡教育大学名誉教授)、研究協力者清水勇吉(当時宮崎国際大学講師・現在東京福祉大学特任講師)の参加・協力を得た。 研究代表者松田は、一昨年度の大分市調査と昨年度調査の竹田市調査の結果を分析し、日本語学会2017年度秋季研究発表会(金沢大学)にて研究発表を行った(11月11日)。その際、多くの質疑や意見を得ることができた。「機能的要素」の取り扱いの問題や大規模調査利用の提案、また中学生調査のあり方など、本調査の不足点を指摘しつつ、より充実した研究になるようにとの質疑応答であったように感じられ、今後の研究に役立てたいとの思いを強くした。関連した研究発表として、平成29年度大分県高等学校国語教育研究大会で「方言研究と談話研究」と題した発表を、大分県立佐伯鶴城高等学校で行った(11月16日)。 年度末に向けて、研究報告書の作成に取り掛かった。まずは日田市調査の文字起こしとその確認を松田、杉村、二階堂で行い、本調査結果に基づく研究論文を3本の他、調査の概要、文字起こし資料、音声DVDを作成した。目次は「第1章 調査研究の概要」(執筆者:松田)、「第2章 体育祭審判交替依頼談話における待遇表現の性差と世代差」(執筆者:杉村)、「第3章 大分県のアスペクトの動態」(執筆者:二階堂)、「第3章 大分方言談話の地域差・世代差―申し出談話における配慮表現の地域差・世代差―」(執筆者:松田)、「第5章 文字化資料」、「付録 データ集(DVD)」である。調査関係者および関係研究者にも配布し、今後も研究活動が盛んになるよう努めたい。
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