研究課題/領域番号 |
15K02587
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
上田 雅信 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 教授 (30133797)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 生物言語学 / ミニマリスト・プログラム / メカニズム / 因果性 |
研究実績の概要 |
本年度は、科学史・科学哲学の研究の観点から生物科学の中でも特に古典的遺伝学の発展過程や概念的分析の研究を主として行う予定であったが、生物言語学と古典的遺伝学の概念的な性質を比較することができるような明確な概念的基盤を確立するために、科学史・科学哲学の観点から生物言語学のメカニズムの概念的性質―特にその因果性―の明確化を進める研究を先行して行った。まず、これまで、ガリレオの運動の研究においては運動の原因としての因果性は考えらえていなかったと主張されることが多かったが、最近になって、ガリレオの運動論の因果性について従来とは異なる評価を行っている科学史の研究があることが分かった。そこで、このような観点から、特に生物言語学のメカニズムの概念に因果性があるのかどうかについて科学史・科学哲学の観点から再検討を行うことを試みた。現在はこのような観点から生物言語学とアメリカ構造主義言語学との違いを明確にすることを含めて、生物言語学や古典的遺伝学の発展過程を分析する試みを進めつつある。同時に、ミニマリスト・プログラムで論じられている第三要因の性質についての議論の分析も進め、その因果性の問題との関わりも明確にしつつある。その結果、Johansson(2013)などで示唆されているように、この問題の議論においても因果性の問題が十分に認識され、論じられていないことが明らかになりつつある。最後に、生物言語学のメカニズムの因果性の概念的な分析と平行して、言語のメカニズムの因果性を経験的に研究する研究領域の探索も行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
28年度に予定していた生物言語学のメカニズムと因果性の関係の概念的性質の研究をまず最初に明確にする必要があったため、その研究に主に時間を使い、当初予定していた古典的遺伝学などの生物科学の理論の形成過程やそのメカニズムと因果律との関係の研究を十分に行っておらず、当初の予定とは少し異なるスケジュールで研究を進めている。
|
今後の研究の推進方策 |
28年度に行う予定だった研究の一部を27年度に行ったため、27年度行う予定だった生物科学の分野の形成過程とそのメカニズムの概念的性質の研究を28年度に並行して進める予定である。
|