研究課題/領域番号 |
15K02592
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
大竹 芳夫 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (60272126)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 文連結 / 指示表現 / 名詞節化形式 / 日英語比較 / 接続表現 / つなぎことば / 語用論 / 意味論 |
研究実績の概要 |
本研究目的は、日英語の文連結現象において指示表現と名詞節化形式が果たす役割を分析し、両言語の普遍性と個別性を原理的に究明することである。本研究では次の3点の解明を目指す。 (i)文連結を支える指示表現と名詞節化形式を伴う諸構文を統語的振る舞いの相違に基づいて分類し、各統語的事実を表面的な形式の背後にある抽象的な統語構造と関連付けて説明する。(ii)各指示表現や名詞節化形式により言語形式化される伝達内容はどのような情報であるのかを機能的、語用論的観点から明らかにする。(iii)文連結における英語と日本語の指示表現と名詞節化形式の選択・出没を比較対照しながら、日英語の知覚認識メカニズムと文法化過程の個別的側面と普遍的側面の実証的解明を試みる。 本年度は昨年度に引き続き基礎的資料を収集、観察、分析し、最近の理論的研究成果を踏まえながら、文を連結する際の指示表現の選択と名詞節化形式の生起が語用論的要請にどのように動機付けられているのかを明らかにした。本年度の研究実績として、【学会発表】大竹芳夫(2017)(シンポジウム 司会兼講師 (招聘), 単独)(「「文をつなぐ」仕組みと「文をつながない」仕組み」(英語語法文法学会第25回大会シンポジウム(シンポジウムテーマ「英語の文をつなぐ接続現象」)於:専修大学))、【論文】大竹芳夫(2017)(「「文をつなぐ」仕組みと「文をつながない」仕組み」『英語語法文法学会第25回大会予稿集』pp.73-81.英語語法文法学会.)、【図書】大竹芳夫(2018)(「It is just that節構文に観察される発話休止と情報補完」『ことばを編む』 pp.170-178. 開拓社(東京))を挙げることができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、研究初年度と前年度の研究成果を踏まえながら、談話や発話場面を分析し、文を連結する際の指示表現の選択と名詞節化形式の生起が語用論的要請にどのように動機付けられているのかを検証した。 本年度の研究実績として、【学会発表】大竹芳夫(2017)(シンポジウム 司会兼講師 (招聘), 単独)(「「文をつなぐ」仕組みと「文をつながない」仕組み」(英語語法文法学会第25回大会シンポジウム(シンポジウムテーマ「英語の文をつなぐ接続現象」)於:専修大学))、【論文】大竹芳夫(2017)(「「文をつなぐ」仕組みと「文をつながない」仕組み」『英語語法文法学会第25回大会予稿集』pp.73-81.英語語法文法学会.)、【図書】大竹芳夫(2018)(「It is just that節構文に観察される発話休止と情報補完」『ことばを編む』 pp.170-178. 開拓社(東京))を挙げることができる。大竹芳夫(2017)では、指示表現を選んでつなぐ事象、文をつなぐことを拒否する事象、突発的に知覚した状況を継起関係に基づいてつなぐ事象、相手の発話を補完してつなぐ事象などについて論じた。大竹芳夫(2018)では、先行情報が話し手の知識にすでに獲得されていることを指示表現itで積極的に表示する“It's just (that)”の直後に休止を伴う現象を観察しながら、発話が休止する契機となる諸事由を明らかにし、発話休止後の聞き手の反応、未発話情報の補完行為について考察した。 本年度は当初目標を概ね達成できた。研究最終年度は、本年度の知見をさらに深化させて、文連結における指示表現と名詞節化形式の選択・出没という言語事象を通して、英語と日本語の個別性、普遍性の両面を体系的・原理的に明らかにし、研究成果を国内外に発信してゆく。
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今後の研究の推進方策 |
研究最終年度は文連結における指示表現と名詞節化形式の選択・出没という言語事象を通して、英語と日本語の個別性、普遍性の両面を体系的・原理的に明らかにする。また、本研究で得られた知見の他言語への敷衍可能性について提示する。本研究成果の理論的・記述的意義を取りまとめて国際的学術誌に投稿・報告すると同時に書籍出版も試みる。併せて、本研究で得られた言語学的知見が英語教育、日本語教育でどのような波及効果や教育的意義をもつのかについても取りまとめて学会に発表し、示唆と提言を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、外部記憶装置等の消耗品の単価が予定時よりも下がったために次年度への繰越研究費が生じた。次年度は、繰越研究費を活用しながら、主に次の研究経費を請求する予定である。(1)本年度に引き続き、関連する言語理論・英語学関係の文献を購入、複写することが必要である。(2)研究対象の用例の整理保存に光磁気ディスク、情報カード、クリアファイルを利用する必要がある。(3)関連分野の問題を研究する国内研究者との情報交換や資料収集のために国内旅費が必要である。(4)インフォーマントから必要な情報を得るために謝金も必要である。
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