研究課題/領域番号 |
15K02606
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
西岡 宣明 九州大学, 人文科学研究院, 教授 (80198431)
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研究分担者 |
下仮屋 翔 産業医科大学, 医学部, 助教 (70746594)
團迫 雅彦 九州大学, 人文科学研究院, 専門研究員 (50581534)
田中 公介 産業医科大学, 医学部, 准教授 (40565751)
大塚 知昇 九州共立大学, 経済学部, 講師 (20757273)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 生成文法 / ミニマリスト / フェイズ / カートグラフィ / ラベリング理論 / ペア併合 |
研究実績の概要 |
左方移動、大人の文法に働く(標準的)規則から逸脱して見える現象を、フェイズ理論とカートグラフィ分析に照らして考察し、(i)現象の背後にあるメカニズムの解明すると同時に、(ii)フェイズ理論とカートグラフィ分析の整合性を探求し、CPフェーズの内部構造とその核となる機能範疇を解明することにより、理論的貢献を目指す本研究は、今年度は以下の実施計画に従い研究を進めた。 (1) 前年度の調査・研究を整理し、研究計画の再確認を行う。(2) 関連構文の詳細な通言語的調査を言語学文献によって引き続き行う。(3) 前年度の調査で明らかになった問題点を踏まえ、それぞれの分析を総合し、CPの核となる機能範疇をつきとめ、それを反映した構造をそれぞれの研究対象現象に提案する。(4) それぞれの分析から抽出される一般化を考察する。 本年度は、特にChomsky (2013, 2015)のラベリング理論に基づく分析の可能性も探ることとした。ラベリング理論は、セット併合、ペア併合という2種類の併合操作の自由な適用とその結果生じた構造物のラベル付けという観点から諸現象の説明を試みるものである。具体的には、方言に基づき、日本語の主節と従属節の否定のスコープと主語の位置に関する考察から導きだされるCPフェイズの派生における役割とラベリングの問題の検討(西岡)、動名詞の節構造と派生におけるCP構造とペア併合のはたす役割(下仮屋)、右方移動の種類とカートグラフィ理論との関係、ならびにCPフェイズ内の機能範疇のフェイズ性の違い(田中)、ペア併合の弱フェイズ分析への適用、ならびにフェイズ理論とカートグラフィ分析の融合の可能性(大塚)、CPフェイズ内の特定の機能範疇(「の」)の獲得の問題の事例研究(團迫)を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者が分担者と密に連絡をとり、最新の言語理論とお互いの研究内容の共有がうまくできた。
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今後の研究の推進方策 |
以下のことを行い、個々の研究のまとめと統合ならびに検証を進める。
(1) 理論的進展と整合性をはかるため、言語理論に関する文献調査を行い、本研究で提案した個々の分析の妥当性を検証する(2) 全体を総合して、一般化の可能性を探り、その理論的意義と貢献を提示する。(3) 研究成果を国内外の学会、ワークショップ、シンポジウム等で発表する。(4) 研究成果を論文、図書、報告書等にまとめ公表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費(特に図書)に関して、当初予定より使用する必要性が減った。また、成果を発表するために最終年度に複数の海外出張、国内出張を予定しており、そのために意図的に予算を残しておいた。
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次年度使用額の使用計画 |
図書購入と国内外での成果発表、ならびに報告書作成等に使用予定である。
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