研究課題
人間の「言語機能」の特性の探究、特に言語の普遍的特性と個別文法の変異可能性を探究するために、修辞疑問文 (Rhetorical Question: RQ)とWH関連構文の特性を調査して、「発音されない言語表現に潜む統語特性と意味・談話特性」を明らかにした。特に、英語のRQと日本語のRQの統語的、意味的、談話的特性の相違について詳細に調査して以下の点を明らかにした:(1)日・英語のRQの相違は、言語運用上の要請を文法化する日本語タイプとそうでない英語タイプの統語的相違の帰結である:1a. 日本語RQの統語構造は、日本語の問返し疑問 (Echo-Question: EQ)と同様に、基本的に発話動詞の引用補文の特性を持つ; 2b. 英語RQの統語構造は、英語のEQと並行的であり、RQは基本的にGQの談話解釈である。(2)日・英語の多重 WH-RQ の相違は、WH-句の形態・統語的特性と文中のWH-句の解釈の仕組みが英語と日本語では異なる; 2a. 英語の多重 WH-句にRQ解釈が許されないのは、英語には統語的な文タイプマーカーがなく、文中のin-situ WHを認可する仕組みがないためである; 2b. 日本語の多重 WH-句にRQ解釈が可能なのは、文末の文タイプマーカーによる認可条件とWH-句の特性の相互作用である。(3) 日英語のWH-RQの統語制約と認可条件の違いは、RQに関わる他の統語特性とインターフェイス条件に起因する:3a. 英語RQの統語制約(島の効果など)は「純粋疑問文」 (Genuine Question: GQ)の特性を継承する; 3b. 日本語RQの統語制約 (島の効果など)に関する従来の主張は妥当ではなく、統語・意味インターフェイス条件によるものである。
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Handbooks of Japanese Syntax、M. Shibatani, S. Miyagawa and H. Noda (eds.) Mouton
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Proceedings of the 41st Annual Boston Yniversity Conference of Language Development, M. LaMendola and J. Scott (eds.) Cascadill Press, MA.
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