研究課題/領域番号 |
15K02608
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
廣江 顕 長崎大学, 言語教育研究センター, 教授 (20369119)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | direct quote / conceptual structure / to |
研究実績の概要 |
本年度は、描出話法文(represented speech sentence)と基本的な統語特性を共有している直接引用構文(direct quote construction:DQC)を扱い、これまでの研究で明らかにしてきた、その構成要素である直接引用文(direct quote:DQ)が付加部であるとの事実をもとに、そのDQが如何なるメカニズムで認可されているのかという問題提起を行い、日本語との英語のDQC比較という観点から、統語的なアプローチではなく、概念構造(conceptual structure:CS)によるアプローチを行った。 具体的には、日本語には、英語には無い引用マーカーの「ト」が語彙要素としてあることから、トのCSに[WITH SAYING]という関数(function)があり、その関数の項(arugument)としてDQを選択しているとの主張を行った。この提案の帰結として、日本語のDQCに観察される、伝達行為とは言い難い動詞とDQが共起しているという事実を捉えることが可能になる。さらなる帰結として、「ト」のような語彙的引用マーカーが無い英語の場合、日本語ほど生産的ではないものの、限られてはいるものの観察されるのは、DQと共起している特定の動詞において、その動詞のCSで[WITH SAYING]が付加されているとの提案を行った。 こうした研究成果は、syntaxを可能なかぎりシンプルにしようというCulicover and Jackendoff(2005)のプロジェクトにおける作業仮説にも通じ、本年度の学会等で研究発表を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
直接引用文(direct quote)における日本語と英語の相違点を、概念構造(conceptual structure)における違いとして捉えた。そのことで、syntaxの問題として考えられてきた直接引用構文の文法特性を(すべてではないものの)概念構造の問題として還元し、日英間の相違点も原理的に説明することが可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、これまでの研究から得られた知見が描出話法文の文法特性にも適用可能かどうかの検証を行う予定である。さらに、描出話法文及び(直接引用構文を含む)関連構文において、これまで生成統語論で試みられてきた統語的アプローチがどの事実あるいはどの文法特性を説明する上で有効か(また有効でないか)を見極めていく方策である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度に国際学会で研究発表する旅費として使用する予定
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次年度使用額の使用計画 |
国際学会で研究発表を行う旅費として使用する。
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