本研究は現代英語における動詞の名詞化の性質を、形態・統語のインターフェイスの観点から、ゲルマン・ロマンス諸語を主とする他言語との比較・史的変遷をも考慮して調査し、理論・実証の両面から多角的に解明することを目標とするものである。平成27年度の主な作業は、先行研究・データの収集・分析、先行研究・データの分析・検討、研究打ち合わせ及び研究成果の公表の4つであった。平成28年度はこれらの作業を継続する一方、研究内容を発展・補完することを目指し、研究成果の取りまとめ及公表に軸足を移してゆくことを目指した。接尾辞が名詞化に関わる役割の検証、派生名詞が現れる統語構造の解明及びゲルマン・ロマンス諸語との比較及び史的変化の過程における英語の名詞化の位置づけが本研究の軸となるが、28年度においてはこれらで得られた知見を、ゲルマン・ロマンス諸語及び過去の時代の英語に適用し、現代英語について得られた成果の妥当性を検証し、補強する作業の準備が整った。平成28年11月にはロンドン大学で文献調査を行うと共に、研究協力者であるAd Neeleman教授(ロンドン大学)と面会し、本研究について議論し、有益な助言を得ることができた。研究成果の公表について、研究成果を論文の形で学会誌及び国際誌を通じ、国内外へ積極的に投稿・公表することを視野に、当該年度では論文を1本完成し、発表することができた(平成29年3月)。ホームページの作成・公開を行い、研究成果を広く発信する為の準備を整えた。
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