研究課題/領域番号 |
15K02618
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
田中 秀毅 摂南大学, 外国語学部, 准教授 (50341186)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 部分構造 / 部分・全体の関係 / タイプ・トークンの関係 / 部分構造制約 / 情報構造 |
研究実績の概要 |
本年度は、英語のA of B形式(部分構造)とA out of B形式の比較を行った。取り組んだ課題は、①部分構造はタイプ・トークンの関係を表せるのに、A out of B形式がそれを表せないのはなぜか、と②A of B形式・A out of B形式とof句・out of句前置文はどのような対応関係を結んでいるのか、の2つである。 ①については、A out of B形式がタイプ・トークンの関係を表せない事実が当該形式の数の対比を表す機能に由来すると考えた。すなわち、AとBが表す数が明確でなければ数の対比が成立しないけれども、タイプ・トークンの関係では母集合の数が明確に決まらないため、結果として数の比を問題にすることができないということになる。 ②については、(1a)のような部分構造に課される「部分構造制約」(of句が定名詞句にならなければならない制約)が(1b)のようなof句前置文では課されないという事実がある。 (1) a. Ten of *(the) fourteen women were single. b. Of (the) fourteen, ten women were single. この事実を説明するために、本研究は(1a)と(1b)の情報構造に注目した。部分構造では、先行する文で母集合が導入されるが、of句前置文では単一文のなかで母集合の導入とその部分集合への言及が行われていると考えられる。部分構造との決定的な違いは、部分構造A of B形式ではAの名詞(句)とof Bの句がNPを構成するが、of前置文ではAの名詞(句)とof Bの句が分離されてNPを構成しない。これが部分構造制約の適用が回避される合図になっていると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定した2つの課題に取り組み、一定の成果が得られたため。
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今後の研究の推進方策 |
of句・out of句前置文の意味機能を裏づけるため、言語コーパスで当該構文の生起環境を調査する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2015年度に購入する予定だった、言語コーパス・データ処理用のパソコン一式を購入しなかったことから次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
2016年度中に当該物品を購入する。
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